ディズニーが「スター・ウォーズ」買収「7」15年公開へ

[ 2012年11月1日 06:00 ]

 米娯楽大手のウォルト・ディズニーは30日、人気映画シリーズ「スター・ウォーズ」で知られるジョージ・ルーカス監督が設立した映画会社「ルーカス・フィルム」を40億5000万ドル(約3200億円)で買収すると発表した。ディズニーはスター・ウォーズに関する権利も同時に取得。シリーズ最新作「スター・ウォーズ エピソード7」の2015年上映を目指す。

 買収の契約書にサインしたルーカス監督は「4年前に(会社経営からの)引退を考え始めた。同時に、もっと実験的な映画を作りたくなった。それに自分の会社は巻き込めないとも思っていた」とコメント。「今、スター・ウォーズを新しい世代の映画製作者に手渡す時が来た」とも話した。ディズニーのアイガーCEOは「スター・ウォーズとディズニーの独特で他に類を見ない想像力が結び付き、持続的成長を生み出すだろう」との声明を発表した。

 ルーカス・フィルムは1971年設立。ルーカス監督が全株式を保有している。77年に第1作が公開された「スター・ウォーズ」シリーズが全世界で爆発的ヒット。興行収入、キャラクター商品など関連グッズを含めれば約3兆円を売り上げたとされる。「インディ・ジョーンズ」シリーズも製作している。

 68歳のルーカス監督は今年6月、ルーカス・フィルムの共同会長にスティーブン・スピルバーグ監督の側近で、ディズニーにもパイプがある映画プロデューサー、キャスリーン・ケネディ氏を迎えた。「安心した。最後の仕事は、会社の“次の家”を探すことだった」とルーカス監督。ミッキーマウスなどのキャラクタービジネスで大成功を収めているディズニーをパートナーに選んだ。

 幅広い世代に広がる「スター・ウォーズ」ファンには朗報。ルーカス監督はシリーズ開始時に全9作を計画したものの、05年公開の第6作「エピソード3(シスの復讐)」で実質完結したとみられたからだ。「エピソード7」は、83年公開の「エピソード6(ジェダイの帰還)」のその後が描かれる。ディズニーはルーカス監督をコンサルタントに迎え、新3部作の製作にすでに着手。ルーカス監督も「あと100年続けられるアイデアがある」と笑顔を見せた。

 買収によってルーカス・フィルムが所有し、ハリウッドの多くの作品を手がける「ILM」などの特撮・音響製作会社もディズニー傘下に移る。米映画会社に詳しい配給関係者は「ILMなしではハリウッドは成り立たない。これまで通り各社の作品に携わるだろうが最終的に“ディズニーの独り勝ち”ということも考えられる」と話した。

 ▽ウォルト・ディズニー・カンパニー 1923年、アニメ作品の製作会社としてロイ・ディズニー、ウォルト・ディズニー兄弟が設立。米カリフォルニア、フロリダ、東京、香港、パリにテーマパークを展開。アニメ作品のほか、「タッチストーン・ピクチャーズ」などの名称で実写作品も製作。米4大ネットワークのABCテレビ、スポーツ専門局ESPNも傘下に収める巨大エンターテインメント会社。96年には日本のスタジオジブリと提携。長編アニメ映画のアジアを除く全世界配給も手がける。

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2012年11月1日のニュース