「あなたへ」共演遺作に…健さん哀悼「感謝しております」

[ 2012年10月6日 06:00 ]

映画「あなたへ」で大滝秀治さん(左)と共演する高倉健(C)「あなたへ」製作委員会

大滝秀治さん死去

 大滝秀治さんの悲報は芸能界に衝撃を走らせた。高倉健(81)をはじめゆかりの俳優、タレントらが思い思いの言葉で追悼のコメントを寄せた。6年ぶりの主演映画「あなたへ」(監督降旗康男)で共演した高倉は「大滝さんの最後のお仕事の相手を務めさせていただき、感謝しております」と哀悼の意をささげた。

 体調を崩して入院していた大滝さんを手紙のやりとりを通して高倉は励まし続けたが、その願いは届かなかった。民芸関係者や親族から亡くなったことをそっと伝えられ、「静かなお別れができました」と高倉はコメントで明かした。

 「あ・うん」以来、23年ぶりに共演した「あなたへ」で、あらためて大滝さんの“凄さ”を肌で感じた。「遺骨を故郷の海にまいて」と遺言した妻の願いをかなえるために旅に出る刑務官のロードムービー。長崎県薄香湾で散骨するための船を出してくれた船頭役が大滝さんだった。

 本紙元日付の新春特別インタビューで高倉は「散骨を済ませた後のシーン。大滝さんのセリフは“久しぶりにきれいな海を見た”というたった一言でしたが、名優が魂を込めて言うと、こんなにも違うセリフになってしまうのかと…。凄い芝居を見せてもらいました。年齢なんて関係なくできるんだと僕も元気をもらいました」と6歳年上の先輩の演技に感激したことを告白していた。

 大滝さんの撮影は昨年11月の3日間だけだったが、この際の印象がよほど強かったのだろう。その後、「あなたへ」の宣伝で出演したNHK「プロフェッショナル」など、多くの媒体の取材でも高倉はこの話を披露しては目を潤ませた。

 自分の役について納得いくまで降旗監督とディスカッションを重ねた大滝さんの姿も高倉は目に焼き付けている。映画は8月25日に公開されて興行収入21億円を突破する大ヒット。大滝さんは予定した完成披露試写会や初日舞台あいさつを体調不良で全て欠席したが、一番残念そうな顔をしていたのが高倉だった。

 「今までご一緒させていただいたいろいろな場面が思い浮かびます。本当に素晴らしい先輩でした」と天国に旅立った大滝さんをしのんだ。

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2012年10月6日のニュース