「中畑のおじさん」モデルの男性、温かな人柄しのぶ

[ 2012年6月30日 06:00 ]

地井武男さん死去

 「北の国から」の舞台、北海道富良野市も悲しみに包まれた。地井さんが演じた「中畑のおじさん」こと中畑和夫のモデルとなった仲世古(なかせこ)善雄さん(69)はスポニチ本紙の取材に「キャラの元になったのは確かに私だが、中畑の持つ魅力は地井武男という人間が放ったものだった」と、温かな人柄をしのんだ。

 田中邦衛が主演した黒板五郎の親友で、黒板一家最大の理解者役。一家3人とともに“4人目の主役”ともいわれた。中畑が経営する木材店でのロケは仲世古さんが社長を務める「麓郷(ろくごう)木材」の事務所が使われ、現在も玄関口に「中畑木材」の看板が掛けられている。

 シリーズ最終作「~2002遺言」で中畑が号泣し、五郎に妻のがんの再発を告げるシーンはハイライトの一つ。仲世古さんが前年に妻をがんで亡くした実話がベースだが、地井さんも収録直前、当時の妻佐和子さんを乳がんで亡くしていた。仲世古さんは「鬼気迫る演技に自分のことを思い出し、正視できなかった」と振り返る。ロケでは絶えず気を使い、場を盛り上げていた地井さんについて「その収録が終わったときだけは誰とも話をせず空港に向かった。つらかったのでしょう」とみていた。

 “分身”ともいえる2人は、私生活でも交流。地井さんは家族や6人の姉を伴い、何度も仲世古さん宅を訪問。「大俳優なのに本当に気さくでねぇ。千葉の旧友たちを団体で連れてきたことも。酔いが回って新聞では書けないような若き日の武勇伝を、得意げに話していた姿が目に浮かぶ」としのんだ。「今年に入ってから、“また会いたいね”という手紙をもらっていた。良くなっているんだと思ったんだがなぁ…」と無念そう。麓郷木材は今でもドラマのファンが訪れる名所で「もらった手紙は公開せず、私の心にしまっておきたい」と最後は声を詰まらせた。

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2012年6月30日のニュース