「熊野川記念碑」再建、三枝「師匠も喜んで…」

[ 2012年3月17日 06:00 ]

熊野川記念碑の再建除幕式に出席した桂三枝(前列左から3人目)ら

 昨年9月に台風12号の被害を受けて傾いた和歌山・新宮市にある五代目桂文枝ゆかりの「熊野川記念碑」が、筆頭弟子の桂三枝(68)らの尽力で再建され、同所で16日、除幕式が開かれた。

 三枝らの手で幕が外されると、文枝の絶筆となる「熊野川」のステンレス製文字が施された高さ3・6メートル、樹齢250年の天然杉でできた記念碑が“復活”。文枝の遺影を手に感慨深げに碑を眺めた三枝は「師匠も喜んでおられると思います。大変な自然の猛威で多くの家が流される中、斜めになりながらも踏ん張った。師匠の強い気持ち、後の者も頑張れよというものを感じました」と7月16日に控える「六代桂文枝」襲名へ決意を新たにした。

 三枝が現地を訪れるのは被災後は初めてで「いまだ爪痕が残っている。これからもできる限り、お力になりたいと思います」と継続支援を約束。弟弟子の桂きん枝(61)も「この記念碑が復興のシンボルになればうれしいです」と願いを込めた。夜には新宮市で入場料の一部を寄付する「熊野復興寄席」を開催。三枝が創作落語「涙をこらえてカラオケを」を口演するなど集まった約1000人のファンを喜ばせた。その後、今年1月に大阪・天満天神繁昌亭で開催したチャリティー落語会で集まった募金や収益の一部を、同市の田岡実千年市長に直接、手渡しで寄付した。

 文枝は、熊野地方が世界遺産登録された際に同市からの依頼を受けて2004年に、創作落語「熊野詣」を発表。翌05年の3月に他界し、同年5月には絶筆となった文字「熊野川」を配した記念碑が建立された。

続きを表示

2012年3月17日のニュース