勘九郎 亡き祖父・芝翫さんに誓う「芸道に努力、精進」

[ 2012年2月3日 06:00 ]

 中村勘太郎改め六代目中村勘九郎襲名披露の「二月大歌舞伎」が2日、東京・新橋演舞場で初日を迎えた。口上で新中村勘九郎(30)は、昨年10月に死去した祖父で人間国宝の中村芝翫さん(享年83)にも言及。「祖父のことを忘れずに芸道に努力、精進していきたい」と誓った。中村橋之助(46)は芝翫さんか使っていたかつらをかぶって口上に同席。芝翫さんも孫の晴れ姿を、舞台から見守った。

 「中村屋!」「六代目!」大向こうが劇場に響き渡る中、新勘九郎を中心に15人がずらり、口上の舞台に並んだ。まず父・中村勘三郎(56)が、中村吉右衛門(67)、片岡仁左衛門(67)、坂東三津五郎(56)らに「(勘九郎が)小さいころから指導していただいた」と感謝。「ここにはおりませんが岳父(芝翫さん)にも手取り足取り教わりました」と続けた。

 勘九郎は「先輩たちから温かい言葉をいただいて、もう感謝の言葉しかありません」と声を詰まらせながらあいさつ。この日は、東京・神谷町にある芝翫さんの家の仏壇に手を合わせてから劇場入り。「亡くなりました祖父2人のためにも、芸道に精進してまいります」と芝翫さん、先代中村勘三郎さんに誓った。

 芝翫さんは勘九郎襲名が決まってから、襲名興行の口上に出ることを楽しみにし、死去の直前まで初日の2月2日を指折り数えていた。そんな芝翫さんのために、息子の橋之助が“いきな演出”。芝翫さんが昨年9月、最後の舞台で使ったかつらをかぶって口上。孫の晴れ姿を天国からではなく、舞台の上から見させた。前日1日、勘九郎の母で姉の好江さんに「父のかつらをかぶって出ます」とメールで知らせてきたという。勘九郎は事前には知らなかったようで、口上後、大感激していた。

 先月26日、東京・浅草の平成中村座の舞台上で勘三郎と“勘九郎引き継ぎ式”を行い、同30日には襲名興行の顔寄せで「六代目中村勘九郎」として紹介された。初日を前に準備は整っていたが、唯一心残りだったのが、芝翫さんがいてくれないことだった。それも橋之助の計らいで実現。勘九郎は「きょうという日を忘れず、努力してまいります」と宣言、深々と頭を下げた。

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2012年2月3日のニュース