芸能生活50年 北島三郎、気力と体力で「恩返しを」

[ 2011年10月29日 06:00 ]

大阪公演でも竜のセットに乗り、ド派手な歌謡ショーで盛り上げる北島三郎

 演歌歌手北島三郎(75)の「芸道50周年記念特別公演」(11月28日まで)が29日、大阪市の新歌舞伎座で初日を迎える。東日本大震災の発生とも重なった芸能生活50年の節目。支えてくれた全ての人への「恩返し」を込めて舞台に立つ。

 芸能を歩み半世紀。3月の東京(日生劇場)を皮切りに福岡、名古屋で開催してきた特別公演は大阪がファイナル。「区切りの年。残された時間を少しでも私の芸道を支えてくださった皆さんに恩返ししたい」と熱く語っている。

 長引く不況を憂い「日本を元気にする歌を歌いたい」と意気込んだ節目の年。スタートとなった東京公演中に震災が発生し、3月11日以降の上演をとりやめた。

 被災地を思えば胸も痛んだ。「三陸、みちのくは演歌とは切っても切り離せない場所」。50年間で海にまつわる曲も多く歌ってきた。これらの曲を歌ってもいいのか…。悩んだ。

 それでも「俺にできることは歌で皆さまを励ますことしかない」。6月には岩手県釜石市、宮城県気仙沼市を慰問。数々の名曲が生まれた地の変わり果てた姿を見て「人ごとには思えなかった」と、被災者に対して涙ながらに「まつり」を歌ってエールを送った。

 そんな50周年も残り約2カ月。今年最後の特別公演に向けて「俺はプロ。お客さんの前に立つ以上、元気がない姿は見せられない」と奮い立つ。気力、体力ともに充実した75歳。恩返しの気持ちが消えない限り、芸道の歩みは止まらない。

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2011年10月29日のニュース