「秋葉原通り魔事件」蓮佛美沙子主演で初映画化

[ 2011年10月18日 06:00 ]

映画「RIVER」の1シーン。「秋葉原無差別殺傷事件」の現場となった交差点を見つめる蓮佛美沙子

 東京・秋葉原で17人が死傷した08年6月の「秋葉原無差別殺傷事件」が映画化される。

 蓮佛美沙子(20)主演で来年3月に公開される「RIVER」(監督廣木隆一)で、同事件を扱った作品が劇場に登場するのは初めて。恋人を失った女性役の蓮佛は、実際の事件を扱った内容に「背筋が伸びる感覚」と話している。

 蓮佛が演じるのは、事件で“電機オタク”の恋人を失ったという設定の女性。大きなショックを受けたが、人とのかかわりの中で立ち直っていく姿が描かれる。凄惨な事件そのものより、大切な人間を失った心の痛みを描いていく。

 「余命1ケ月の花嫁」(09年)などでメガホンを取った廣木監督が「衝撃的な事件だったのに、時間の経過とともに話す人が少なくなってきた。映画にすることで永遠に残したかった」という意図から企画し、脚本も手掛けた。

 傷ついた女性の繊細な心情を表現する演技力と、透明感から蓮佛を起用。蓮佛は「デリケートな作品なんだろうと、いつも以上に背筋が伸びる感覚がありました」と、実際の事件を演じる責任感を持って撮影に臨んだ。現場の交差点を見つめるシーンでは「役と同様、足がすくむというか、むなしさとか悲しさとか、全部がごちゃまぜになった気持ちになった」と振り返っている。

 恋人の足跡を探して秋葉原をさまよい、怪しげなスカウトの男性や電機オタクら秋葉原らしいキャラとの交流の中で、生きる気力を取り戻す。秋葉原の象徴であり、恋人をなくした女性の浮遊の象徴としてメイドカフェに体験入店したシーンも描かれる。メイド衣装は初挑戦で「メイドカフェも初めて行ったし、心の中では少し浮かれてしまいました」と話した。

 アジアを中心とした独創的な作品を上映する映画祭「東京フィルメックス」(11月19~27日)でプレミア上映が行われる。根岸季衣(57)、田口トモロヲ(53)らが共演する。 

 ▽秋葉原無差別殺傷事件 08年6月8日午後0時半過ぎ、2トントラックが東京・秋葉原の交差点に突入。運転していた男が3人を殺害し2人にケガをさせた。さらにダガーナイフで通行人に襲いかかり4人を殺害、8人に重軽傷を負わせた。警視庁は殺人未遂容疑で加藤智大被告(29)を現行犯逮捕。精神鑑定を経て殺人などの罪で起訴され、今年3月24日に死刑判決を受けた。加藤被告は控訴している。事件を受け、歩行者天国が中止されたが今年1月に再開。

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2011年10月18日のニュース