渋い二枚目からコミカルな演技まで…杉浦直樹さん死去

[ 2011年9月24日 06:00 ]

死去した杉浦直樹さん

 TBS「岸辺のアルバム」(77年)などドラマや映画で活躍した俳優の杉浦直樹(すぎうら・なおき、本名同じ)さんが21日午後7時23分、肺腺がんのため東京都内の自宅で死去した。79歳。愛知県出身。葬儀・告別式は親族のみで執り行う。喪主は妻仁美(ひとみ)さん。

 所属事務所によると、杉浦さんは7月中旬に体調を崩したため、都内の病院に検査入院。その際、肺にがんが見つかり、放射線治療を続けていた。そして今月1日に自らの意思で退院。東京・目黒区の自宅で仁美夫人と夫婦水入らずの時間を過ごし、21日に容体が急変。帰らぬ人となった。

 渋い二枚目ばかりでなく、軽妙でコミカルな演技も自在にこなせる実力派だった。カネボウ「薬用紫電改」のCMでは、頭皮をブラシでせっせと叩きながら「叩かれて叩かれて、やっとここまで来たもんなぁ」と中年男の悲哀をコミカルに表現したセリフでお茶の間の共感を呼んだ。

 趣味だったニシキゴイの飼育はプロ級の腕前。「演技に所帯くささが出ないように」と、06年に脳梗塞で倒れるまで都内のホテルで暮らし、11階の1151(イイコイ)号室を愛用していた。後日、お別れの会を開く方向で検討している。

 ▼中田喜子(女優)寂しいです。「岸辺のアルバム」で杉浦さんの娘役でした。仕事への姿勢、役への取り組み方にひそかに憧れていました。数年前、楽屋にうかがった時、長身の杉浦さんが笑顔で迎えてくださったことを思い出します。

 ▼平田満(俳優)喪失感に襲われています。俳優としても人間としても、品と魅力のあるすてきな方でした。大きな目標とお手本を失い、残念でなりません。

 ◆杉浦 直樹(すぎうら・なおき)1931年(昭6)12月8日、愛知県生まれ。日大芸術学部中退。在学中に新演劇研究所の設立に参加し、57年日活の「俺は待ってるぜ」で映画デビュー。脚本家の故向田邦子さんの作品に数多く出演。NHK「父の詫び状」は舞台化され、再演を重ねる当たり役となった。02年「あ・うん」で菊田一夫演劇賞を受賞、06年旭日小綬章を受賞。

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