吉永小百合、厳しい表情で「原発なくして…」

[ 2011年8月1日 06:00 ]

日本母親大会で地元小学生らと合唱する吉永小百合(中央)=日本母親大会提供

 女優の吉永小百合(66)が31日、広島市で開かれた日本母親大会で「原発をなくしてほしい」と語った。発生から4カ月以上たっても収束しない福島第1原発の事故を受けての発言とみられ、未来の子供たちのために脱原発を訴えた。

 舞台に立った吉永は、冒頭で「原子力の平和利用という言葉がよく使われていて、私自身あいまいに受け止めていた」とこれまでを振り返り、「高速増殖炉原型炉もんじゅは恐ろしいと聞いてはいたが、普通の原子力をもっと知っておくべきだった。地震の多い日本では原子力発電所をなくしてほしい」と厳しい表情で話した。

 その後、「東北からの出席者に祈りを込めて詩を朗読します」と語り掛け、「にんげんをかえせ」で知られる故峠三吉の「原爆詩集」の序詩や故栗原貞子の「生ましめんかな」など6編を朗読。広島市の小学生ら約80人とともに平和への願いを込めた「折り鶴」を合唱した。

 吉永は映画「愛と死の記録」(66年)で原爆症で死んでしまう青年の婚約者役を、NHKドラマ「夢千代日記」(81年)で胎内被爆し後遺症に苦しむヒロインを演じたことがきっかけで原爆と向き合うようになり、1986年から原爆詩の朗読をライフワークとしてきた。多忙の中、年2、3回のペースで続け、今年で26年目。今回は30日から広島で開かれていた日本母親大会の特別企画として招かれ朗読した。

 福島の原発事故を受け、長女(5)と初参加した神奈川県茅ケ崎市の主婦広瀬純子さん(35)は「吉永さんの透き通るような声が心に染みた。事故前は原発は安心で必要と考えていたが、今は被爆国日本で核エネルギーが利用されることに反対だ」と話した。

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2011年8月1日のニュース