先月、最後の花見…「花と蛇」の団鬼六氏死去

[ 2011年5月7日 06:00 ]

昨年10月、映画「花と蛇3」の公開記念緊縛ショーで小向美奈子を縛り上げる団鬼六氏

 「花と蛇」などで知られるSM小説家の団鬼六(だん・おにろく、本名黒岩幸彦=くろいわ・ゆきひこ)氏が6日午後2時6分、胸部食道がんのため都内の病院で死去した。79歳。滋賀県出身。葬儀・告別式の日取りは未定。喪主は長男黒岩秀行(くろいわ・ひでゆき)氏。昨年4月に食道がんを公表し、入退院を繰り返していた。団さん原作の映画に主演した女優たちも悲しみに暮れた。

 団さんは先月10日、屋形船を借り切り、東京の浜松町から浅草まで隅田川を上る花見を主催した。参加したのは親睦グループ「鬼の会」のメンバーと官能小説家の丸茂ジュンさん(57)や親しい編集者。妻の安紀子さんと息子、前妻との間の息子に娘も乗船し、約2時間、にぎやかな時を過ごした。参加者によると、団さんは数日前に退院したばかりで「苦しそうにしていた」という。途中、川沿いの満開の桜を見渡し「桜は今年が最後になるかもしれない」ともつぶやいた。一方で編集者には「準備しているものがある」と新作の執筆に意欲もみせた。丸茂さんはスポニチ本紙の取材に「病院からの電話で“最後の花見をするから絶対に来い”と誘われました。自分の死期を悟り、親しい人みんなにあいさつしたのは凄いと思います」としのんだ。

 食道がんは手術をせず、放射線治療で完治を目指した。ただ、がんは喉に転移。昨春には喉の腫瘍を摘出した。それでも、にぎやかなことが好きな生来の性格は変わらず、たびたび大宴会を催すほど元気だったという。06年には腎機能が悪化。人工透析も受け続けていた。

 団さんは東日本大震災の被災者、被災地のことを最後まで気に掛けていた。先月18日付の公式ブログでも「戦後を見ている世代は必ず日本が復興することを信じて疑わない」と力強い言葉で激励。また「楽しさは生きる喜びであり、希望に繋(つな)がる、と快楽主義者の私は思うのである」と、日本を覆う自粛ムードの打破も呼びかけていた。

 ◆団 鬼六(だん・おにろく)本名黒岩幸彦。1931年(昭6)4月16日(戸籍上は9月1日)、滋賀県生まれ。関西学院大卒。鬼の気分で小説を書くことと、昭和6年生まれから「鬼六」のペンネームにした。相場師だった父親を題材にした「親子丼」で57年、文芸春秋オール新人杯に入選。純文学を書きながらバー経営に手を出すが失敗、ポルノ小説を書き始めた。61年に「花と蛇」を発表。サディズムとマゾヒズムを丹念に描き、それまで未開拓だったSM小説の第一人者になった。官能の世界を背景に人間の本質を描き出し、男性だけでなく、女性のファンも獲得した。自身のプロダクションを立ち上げ成人映画も製作。89年に断筆宣言をしたが95年に復帰。将棋好きとしても知られ「将棋ジャーナル」社主も務めた。

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