遠い存在じゃないんだ…上野樹里 共通点は「放っておいた方がいい」

[ 2011年1月1日 09:36 ]

上野樹里

 女優・上野樹里(24)が今年のNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国」(1月9日スタート)で主人公・江を務める。「のだめカンタービレ」で天真爛漫(らんまん)なピアノの天才を演じたかと思えば、一転して「ラスト・フレンズ」では性同一性障害を抱える女性の葛藤を体当たりで演じきった。

 コミカルからシリアスな役まで幅広くこなすが、時代劇は初挑戦。織田信長の妹・市の三女として当時の権力者に翻弄されながらも、たくましく生き抜いた姫を演じるにあたり「江」にかける思いを上野が語った。

 江が7歳の頃から演じる上野は「姫というとおしとやかに城の中で優雅に生活しているというイメージがあった。それが、まんじゅうの取り合いでケンカしたり、潮干狩りに行って着物を濡らしちゃったりと普通の家庭にある光景だった。今まで持っていた固定観念がなくなりましたね。感情を追っていくと、お姫様というのは遠い存在じゃないんだなと思った」。

 江は戦国時代に小谷城(現・滋賀県長浜市)の城主・浅井長政と市の三女として生まれ、直後に父は対立関係にあった信長との戦に敗れ自刃。江は父親を知らないまま育った。幸か不幸か、茶々、初の姉2人とは違って父の敵・信長に対して憎しみを抱くことがなかった。

 「理屈とか関係なしに興味を持ったら(父の敵の)信長に会いに行ったりしてる。自分で興味を持ったら行動する」。

 上野自身も同じ感覚で育った。「育った環境とか家族構成って生き方に左右される。私は自由奔放に育てられた。放っておいたほうが自分のやりたいことを自分で見つけて興味を持っていく。習い事も押し付けられたことがなくて、自分が習いたいって言ったときに習えて、やめたいって言ったらやめられた」。

 脚本を書いた田渕久美子氏から前もって「江は樹里ちゃんだから」と言われたという。ともに3姉妹の末っ子。「本を読んでいくと確かに自分と重なる気がした」と笑う。オファーが届いたときに「水のように生きた江を表現してほしい」とプロデューサーから言われた。「水のようにってどういう意味?」と戸惑う上野にプロデューサーは続けた。「柔軟に生きていった女性を表現してほしい」。

 江の運命をもっとも左右した人物は、市の死後に3姉妹の養父となった豊臣秀吉だ。2人目の父である柴田勝家と市を自刃に追いやった張本人。その後も、政略の駒として江を利用し、11歳から23歳までの間に3度同盟相手や“政敵”に嫁がせた。
 「今の時代でもあるかもしれませんが、ある部分では恐ろしいし、悲しいですよね。駒のように男性からは見られてしまう」。江は秀吉への憎しみを募らせながらも、どんなに偉い武将を前にしても動じない性格を生かして2代目将軍・秀忠の正室として武家の女の最高位にまで登りつめていく。

 上野は江の生き方を肯定的にとらえている。「自分の思うように行かなかった人生かもしれないけど、どう生きたかっていう過程が素晴らしいものを持っている」。上野は「水のように生きた江」をどう表現するのか。初回から見逃せない。

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2011年1月1日のニュース