宇多田の祖母逝く…娘、孫との再会の願いかなわず

[ 2010年11月6日 06:00 ]

藤圭子(右)と母親の澄子さん(1974年)

 歌手宇多田ヒカル(27)の祖母で、藤圭子(59)の母親の竹山澄子(たけやま・すみこ)さんが4日午後5時30分、肝臓がんのため都内の病院で亡くなった。80歳。藤の幼少期には流しで全国を一緒に回った。20年ほど前に金銭トラブルが生じて以降、藤とは絶縁状態で、病床で「娘と孫に会いたい」と寂しがっていたという。

 娘の藤と絶縁したまま、孫の宇多田とは歌手になってから一度も会えずに、無念の最期となった。
 澄子さんは3~4年前に肝臓がんを告知され、入退院を繰り返していた。がんは全身に転移し、最近は声が出なくなっていたという。歌手で長男の藤三郎(60)によると、20日ほど前に体調を崩して都内の病院に入院。三郎や澄子さんの妹らが見守る中、眠るように亡くなった。
 澄子さんは目が不自由ながら浪曲師として活躍。生活は貧しく、前夫で同じく浪曲師の阿部壮(つよし)さんと旅芸人として全国を回り、藤は幼少期から同行。澄子さんの三味線をバックに歌うことも多く、こうして藤の音楽の礎が築かれた。
 藤は勉強好きで成績優秀だったにもかかわらず、貧しい生活を自ら支えようと高校進学を断念した。宇多田が00年に米国の名門コロンビア大学(ニューヨーク市)に合格したのも、藤の存在が大きく、幼少期に学業を犠牲にせざるを得なかった経験を、娘に繰り返させたくなかったためだ。
 藤が歌手活動で多忙を極める中、澄子さんは幼少期の宇多田の面倒を見たこともあったという。宇多田の活躍を誰よりも喜び、「赤ん坊の頃から明るい子だった。しっかりね!と伝えたい」とエールを送っていた。葬儀は近親者のみで営まれる。

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2010年11月6日のニュース