[ 2010年7月3日 06:00 ]

縁の深いフィルハーモニア管弦楽団から鮮烈な演奏を引き出すサロネンの指揮

 エサ=ペッカ・サロネン指揮、フィルハーモニア管弦楽団による演奏会は“オーケストラ演奏の新時代”を告げているかのような鮮烈な印象を与えてくれました。これまでも、対旋律や内声部を強調するなどして作品の新たな側面に光を当て、その構造をクリアに聴かせてくれる指揮者との出会いは数々ありました。マリス・ヤンソンス、大野和士らが、その好例です。こうした実力派指揮者によって、過去に幾度となく演奏されてきた曲がさらに磨きあげられていくのを目の当たりにしてきました。

 ところが、当夜、サロネンが指揮したベルリオーズの幻想交響曲はこれまで私が聴いたこうしたスタイルの演奏の中でも精度という点においてはとりわけ際立っているように感じられました。もちろんフィルハーモニア管弦楽団の技術力の高さもあるのでしょう。ただそれは、ビデオテープからDVDへ進化しただけでも十分美しい画像だと思っていたのに、ブルーレイ・ディスクで記録したハイビジョン映像を初めて観た時の驚きに近いのかもしれません。

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2010年7月3日のニュース