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[ 2010年6月13日 06:00 ]

チェコの新鋭指揮者 ヤクブ・フルシャ

 少しだけ付け加えると、この時の第3番は期待に違わぬ世界レベルの水準であった、といえる。マーラー特有の響きの世界がごくごく自然に構築されており、これを駆使してインバルの作品に対する思い入れが濃密に演奏全般に反映されていた。終楽章に向かって音楽が徐々に高揚していく様はまさに圧巻。第2番「復活」でもこのコンビならではの充実の熱演が期待される。

【ヤクブ・フルシャ指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 定期演奏会】
 関西でもマーラーが取り上げられる機会は多い。このほど東京都交響楽団のプリンシパル・ゲスト・コンダクターに就任したチェコの新鋭ヤクブ・フルシャが大阪フィルハーモニー交響楽団の6月定期公演(24、25日、ザ・シンフォニーホール)に客演し第1番「巨人」を取り上げる。筆者はフルシャの実演に接した経験はない。このため彼の音楽については、昨年12月に行われたフルシャ指揮による新日本フィルハーモニー交響楽団のベートーヴェンの第9交響曲を聴いた小谷和美さんによる公演リポート(第94回、1月17日付)をご参照いただきたい。

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2010年6月13日のニュース