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[ 2010年6月13日 06:00 ]

現代的なセンスにあふれる演奏が身上のカンブルラン指揮 読売日響(C)浦野俊之

「大地の歌」は「第9交響曲を作った作曲家は死ぬ」とのジンクスを嫌ったマーラーが第8番「一千人の交響曲」を完成させた後に発表した作品。交響曲と名付けられてはいるがオーケストラ伴奏によるテノールとアルトの連作歌曲といった性格が強い。歌詞は李白をはじめとする唐詩をベースにドイツの詩人ハンス・ベートゲが編さんした詩集「中国の笛」の中の7編をマーラーが独自にアレンジし直したもの。完成は死の3年前の1908年。詩の内容はもちろん、曲想にも東洋的な「無常観」が投影されており、翌1909年になって結局作曲した第9交響曲につながるマーラー晩年の死生観が、その根底に横たわっている。

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2010年6月13日のニュース