酒井容疑者出演の裁判員制度PR映画配信中止

[ 2009年8月8日 06:00 ]

 警視庁が酒井容疑者の逮捕状を取ったニュースは、各方面に衝撃を走らせた。酒井容疑者は裁判員制度の公式PR映画「審理」にも主演しており、製作した最高裁は7日、DVDの配布やホームページ上の動画配信を急きょ中止した。CMにも影響が出ている。AP通信も速報し、海外から驚きの声が上がった。

 最高裁にとっては、全国初の裁判員裁判が前日6日に終わったばかりというタイミングだった。「審理」は、裁判員制度を紹介するホームページで配信していたが停止、作品についての情報は削除した。DVDの配布や貸し出しも中止し、今後は裁判所の行事で上映しない。庁舎などに張っているポスターも撤去するという。
 「報道されている内容など、さまざまな事情を考慮して決めた」としている。
 最高裁が企画・製作したPR映画の第3弾として、約7100万円を投じて昨年完成。DVD約19万1000本とビデオ約4000本を作り、その一部を全国の各地裁などに配布、市民らに貸し出し、制度の周知に活用していた。
 作品の時間は60分。酒井容疑者は、電車内のトラブルから殺人につながった事件の審理に裁判員として参加する主婦役。昨年3月の完成試写会後の記者会見では「選ばれたらどうしようという気持ちは正直あると思うが、結論を1人ではなくみんなで出していく、とてもいい制度。もし選ばれたら、時間をつくってぜひ参加したい」と語っていた。
 同10月に行われた裁判員制度のPRイベントでは、子育てしている母親が選ばれた場合、辞退できることなどを教わり、「私も子育てしているので、熱を出したりする時のことを考えるとありがたい」などと話していた。
 一方、法務省が製作した広報用DVD「裁判員制度―もしもあなたが選ばれたら―」では、俳優の中村雅俊(58)が出演。中村の長男で俳優の中村俊太(32)は今年4月、大麻取締法違反の現行犯で逮捕され、処分保留で釈放されている。

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2009年8月8日のニュース