グランプリ志の輔 風刺漫談で聖火ネタ

[ 2008年4月15日 06:00 ]

グランプリの立川志の輔は受賞盾を手に笑顔を見せる

 映画、放送、舞台、スポーツなど多彩なジャンルで活躍する人・団体、作品をスポニチ本紙が友情と共感を込めて顕彰するスポニチ創刊60周年記念「第16回スポニチ文化芸術大賞」の贈賞式が14日、芝の東京プリンスホテルで行われた。グランプリに輝いた落語家の立川志の輔(54)は「師匠の談志もニヤッと笑って喜んでくれた」と感激のあいさつ。優秀賞を贈られたシャンソン歌手の石井好子(85)と、「吾亦紅(われもこう)」を世に放った「団塊トリオ」はライブで盛り上げた。劇団東宝現代劇75人の会の祝福には女優の森光子(87)が駆けつけ、会場を沸かせた。

 志の輔は紋付きの羽織はかまで登壇。「昭和47年(1972年)に上京して初めて芝居を見たのが当時は西武劇場といったパルコ劇場。その時、なぜか分からないが“オレはいつかここの舞台に立つ”と思った」と不思議な縁を強調。「この賞にふさわしい落語を今後もやっていきたい」と誓いを新たにした。
 96年にスタートした「志の輔らくご in PARCO」が評価されてのグランプリ。3年前から1カ月公演に挑み、老若男女を魅了し続けている。
 「シェークスピアが10人、15人かかっても作れないんじゃないかと思う最高の文学」と古典落語には敬意を払いながら、現代を取り込んだ創作落語で共感を呼ぶ。映画化された「歓喜の歌」「ガラガラ」そして「メルシーひな祭り」などの新作は、人間のおかしさ、時代の不思議さを巧みにあぶり出し、それこそ古典に昇華しそうな完成度の高さだ。
 会場にはコント集団「ザ・ニュースペーパー」のメンバーとして第5回(97年)の優秀賞を受賞し、現在はソロで活躍するお笑いタレントの松元ヒロ(55)も祝福に駆けつけた。サプライズゲストの森光子も、志の輔が司会を務めるNHK「ためしてガッテン」の初回ゲスト。拍手を送られて恐縮する一幕もあった。
 「“落語家は世情のアラでめしを食い”なんてことがいわれます。新聞やニュースで情報をチェックしている」と常にアンテナを張りめぐらせていることを明かした上、落語「寿限無」も織り交ぜながら昨今の出来事を小咄(こばなし)風の漫談で披露。連日のようにニュースをにぎわす北京五輪の「聖火リレー」の話題にも言及し「アレ、周りを取り囲まなければ、誰も聖火が走ってると分からないんじゃないですかね」と、最後は“志の輔ワールド”全開で会場を爆笑に包んだ。

 ◆立川 志の輔(たてかわ・しのすけ)本名竹内照雄。1954年(昭29)2月15日、富山県新湊市(現射水市)生まれ。明大落語研究会で伝統ある高座名「紫紺亭志い朝」(五代目)を襲名。広告代理店勤務などを経て83年に立川談志に入門。84年二ツ目。90年立川流真打ちに昇進。NHK「ためしてガッテン」でもおなじみ。90年文化庁芸術祭賞、07年度文化庁芸術選奨受賞。今年8月15、16日に千代田区の国立劇場で独演会を行う。

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2008年4月15日のニュース