「ベン・ハー」「猿の惑星」C・ヘストン死去

[ 2008年4月6日 13:15 ]

 AP通信によると、映画「ベン・ハー」や「猿の惑星」に主演し、全米ライフル協会(NRA)会長を務めるなど米国の銃規制反対派の象徴的存在でもあった映画俳優チャールトン・ヘストン氏が5日、ロサンゼルスの自宅で死去した。84歳。家族のスポークスマンが明らかにした。死因は明らかでない。

 米イリノイ州出身。大学で演劇を専攻し、兵役を経て1947年から舞台に出演、50年に本格的に映画デビューした。「地上最大のショウ」(52年)でサーカス団長を演じて注目を集め、「十戒」(56年)のモーゼ役で名声を確立した。
 「ベン・ハー」では、ローマ帝政下で数奇な運命をたどる青年を熱演し、59年のアカデミー主演男優賞を獲得。同作品はアカデミー賞を11部門で受賞し、映画史上屈指の名作とされる。
 鍛えられた肉体と確かな演技力でハリウッドのスーパースターに数えられ、その後も68年の「猿の惑星」でSF分野に新境地を開いた。「エル・シド」「ジュリアス・シーザー」「三銃士」などの歴史作品や、「大地震」「ミッドウェイ」といった大作でも存在感を示し続けた。2002年にアルツハイマー病であることを告白した。
 1998年から2003年まで銃規制に反対するNRAの会長。銃所持の権利を主張するグループや銃器メーカーの保護に力を入れ、政界への影響力を発揮、銃規制派のクリントン前大統領と対立したこともあった。
 銃社会を批判したマイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」(02年)でも、同監督のインタビューに持論を展開。タカ派の論客でもあった。

 ▼映画評論家・渡辺祥子さんの話 1970年代に一度インタビューしたが、偉丈夫で姿のかっこいい男性だった。代表作「ベン・ハー」や、モーゼを演じた「十戒」などでたくましく頼もしいヒーローを演じ「大いなる西部」で見せた悪役も魅力的だった。
 その後全米ライフル協会会長を務め、銃規制反対の活動をしたのも、いちずに米国のヒーローとして正義を背負って生きようとしたのだと思う。それをマイケル・ムーア監督が映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」で批判的に取り上げるなど、周囲のとらえ方が変化したのは、米国という国そのものの移り変わりと重なるのではないだろうか。良くも悪くも“大国”だった米国を象徴するヒーローだった。

(共同)

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2008年4月6日のニュース