カートピックス

トヨタ、HV特許無償開放 囲い込み転換、市場拡大へ 2万3千件超、規制対応

[ 2019年4月3日 15:26 ]

 トヨタ自動車は3日、ハイブリッド車(HV)など電動車の関連技術の特許約2万3740件を無償で開放すると発表した。モーターや電池などの中核部品が対象となる。世界的に環境規制が厳格化される中、自社で技術を囲い込む戦略を転換。他社の導入を後押しして市場拡大を狙う。主要部品を共用する電気自動車(EV)などのコストダウンも図る。

 寺師茂樹副社長は名古屋市で記者会見し「世界の環境規制で要求されるレベルは年々高くなっている」と述べ、他社との連携を強化する考えを示した。

 トヨタはHVの開発や販売で先行する。HVは燃費性能が高い半面、車両のきめ細かい制御が求められ、開発には高い技術力が必要になる。中国メーカーなどはHVに関心を持っているとされ、他社に広げて存在感を高める。

 トヨタ幹部は「環境技術は普及させてこそ意味がある」と話す。電動化の技術は急速に進歩しており、特許を無償開放しても独自技術を磨き続けることで競争力を維持できると判断した。

 モーターや電池などの部品は、HVだけでなく、EVや燃料電池車(FCV)と共通する部分も多い。部品の生産量が増えればEVなどのコスト競争力の向上も期待できる。

 ただ、HVなどの技術を開放しても、実際に利用がどこまで広がるかは見通せない。トヨタは2015年1月、燃料電池の特許を関連業界の企業に無償提供すると発表したが、契約に至ったのは十数件にとどまる。

 トヨタのHVは1997年に初代「プリウス」が発売されて以降、近年はセダンやミニバンなど幅広い車種に導入されている。15年に登場し、昨年末にデザインが刷新された現行プリウスは4代目。HV全体の世界の累計販売台数は1300万台を超える。

続きを表示

バックナンバー

もっと見る