シューマッハ氏意識不明 緊急開頭手術も「極めて厳しい状態」

[ 2013年12月31日 05:30 ]

29日、シューマッハ氏が搬送されたフランス・グルノーブルの病院で、記者の取材に応じる病院関係者

 F1歴代最多となる7度の総合王者に輝き、昨年引退した元ドライバーのミハエル・シューマッハ氏(44=ドイツ)が29日、フランスのメリベルでスキー中に崖から落ちて頭部を負傷し、意識不明の重体となった。当初は深刻な状態ではないとされていたが、グルノーブルの病院に転送された際には意識がなく、緊急開頭手術を受けた。一夜明けても危険な状態が続いており、世界中から“皇帝”を心配する声が上がっている。

 シューマッハ氏は29日にドリルで頭部右側に穴を開け、頭蓋内の血腫を取り除いて脳の圧力を下げる手術を受けた。著名な神経外科医が警察車両でパリから駆けつけ、30日にも出血や血栓を取り除く処置を施した。一夜明けて会見した執刀医は「不幸中の幸いは、すぐに病院に運べる場所で事故に遭ったこと。ヘルメット(の着用)が役に立ったのは確か。着けていなかったら生きてはいなかった」と話したが、「昏睡(こんすい)状態は続いており、極めて厳しい状態とみられる」とコメント。「いつ回復するとは言えない。現時点で後遺症について話すこともできない」と語った。

 29日午前11時(日本時間午後7時)すぎに事故が起きたメリベルは高級リゾートとして有名。地元警察によると、シューマッハ氏はゲレンデ外を滑走中に崖から落ち、岩に頭をぶつけたとみられる。数分後に救助され、ヘリコプターで近隣の病院に運ばれたが、応急手当てを施した山岳警備隊によれば、頭にひどいケガを負っていたという。当初は軽度の頭部外傷とされ、リゾート関係者も「少し動揺していたが、意識があった」と命にかかわるケガではないとの見解を示していた。

 だが、同氏が転送されたグルノーブルの大学病院が「脳に深刻な損傷を負い、昏睡状態で病院に到着し、ただちに脳神経外科手術が必要な状態だった」と発表して様相は一変。回復の可能性を高めるためにシューマッハ氏を昏睡状態に置き、脳挫傷と浮腫が見られたため手術を行ったという。

 スイス在住のシューマッハ氏はメリベルにも不動産を所有しているとされ、今回は私的なスキー旅行のために滞在。14歳の息子とスキーを楽しんでいたと伝えられる。事故当時は晴れており、視界不良などの状況だったとは考えにくいが、現場周辺はスキー上級者が集うエリアの中でも難度の高い場所の一つだった。

 シューマッハ氏は99年のF1英国GPで壁に激突して右足を骨折。一度引退後、09年2月には2輪のレースで転倒して首を負傷してF1復帰が遅れた。昨年限りで引退した後はメルセデスのPR活動などに携わっていたが、F1とは関わっていなかった。

 ◆ミハエル・シューマッハ 1969年1月3日、ドイツ・フルト生まれの44歳。91年ベルギーGPでジョーダンからF1デビュー。ベネトンへ移籍し、92年ベルギーGPで初勝利。94、95年に総合王者に輝き、96~06年に所属したフェラーリでは5度の総合優勝。06年限りで一度引退も10年にメルセデスで現役復帰し、12年シーズンを最後に引退した。通算91勝、年間13勝(04年)、PP69回はいずれもF1歴代最多。大のサッカーファンとしても知られ、スイス3部のチームに所属したことがある。弟ラルフも元F1ドライバー。

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