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田中恒成 挑戦者の体重超過で世界戦が中止 陣営の畑中会長は辛らつ「ボクシングをやめた方がいい」

[ 2024年7月20日 05:00 ]

1回目の計量を終えて田中恒成(左)とジョナタン・ロドリゲスはにらみあっていた。しかし、その後…(撮影・篠原岳夫)
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 プロボクシングWBO世界スーパーフライ級王者の田中恒成(29=畑中)が初防衛を狙うはずだったタイトルマッチは19日、中止が決まった。挑戦者の同級12位ジョナタン・ロドリゲス(28=メキシコ)が同日に都内で行われた前日計量でリミット52・1キロを2・9キロも超過。足にけいれんを起こして再計量に臨めず、両陣営の協議により苦渋の決断に至った。他の出場選手は計量を無事にクリアし、興行はダブル世界戦として実施される。

 前日計量を終えた田中は冷静だった。「食べること、飲むことに集中します。戦う気満々なので。(どんな条件でも)戦います」。1回目の計量で2・9キロも超過したロドリゲスが2時間以内に再計量をクリアできるかに関し「無理だと思いますよ」と悲観的に見通した。それでも臨戦態勢を崩さなかった。

 体重超過した選手に当日計量を課し、試合結果にかかわらず王座は動かないなど条件付きで試合が実施されるケースは多い。日本国内の世界戦が体重超過により中止されるのは、日本ボクシングコミッションの安河内剛事務局長によると「おそらく初めて」だ。

 畑中ジムの畑中清詞会長は「(挑戦者が)足にけいれんを起こしていると聞いた。ウチとしても2階級上(スーパーバンタム級=55・3キロ)の選手と試合をやらせるわけにはいかない。そういう(計量で大幅に超過しても試合できる)悪い例をつくるのはよくない」と決断理由を説明。さらに挑戦者に対し「ボクシングをやめた方がいい。階級を間違えてるんじゃないの」と怒りを隠さなかった。

 挑戦者陣営のパコ・ダミアン氏は「2カ月間、自己犠牲してきた田中選手に申し訳ない。ジョナタンはアステカの戦士なので、とても恥ずかしい思いをしている」と代弁した。

 田中は試合の1カ月ほど前に40度超の高熱を出し約1週間は体を動かせなかった。大ピンチを乗り越え「状態は問題ない」と言い切るほど仕上げ、計量をもちろん一発パス。WBA&IBF統一王者フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)ら現級の対抗王者へ向け、存在感を示す機会を奪われた。 (原口 公博)

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