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村田も井岡も…年末2大ビッグマッチ消えた ボクシング界にもオミクロン株ショック

[ 2021年12月4日 05:30 ]

世界ミドル級王座統一戦記者会見で、画面に映るゴロフキンとともにファイティングポーズをとる村田だったが…
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 ボクシングの豪華2大世界戦がオミクロン禍の直撃を受けた。帝拳ジムは3日、村田諒太(35)がゲンナジー・ゴロフキン(39=カザフスタン)と対戦するミドル級王座統一戦を含む29日のイベントを来春に延期すると発表。志成ジムも同日、大みそかに予定していた井岡一翔(32)のスーパーフライ級王座統一戦の中止を発表した。変異株の水際対策強化の影響で外国人選手の入国が難しくなる中、ビッグマッチは相次いで年内実施を断念した。

 オミクロン禍は日本ボクシング界にも波及した。政府が水際対策の強化として外国人の新規入国を一時停止したことで、対戦相手が来日できない状況となり、村田とゴロフキンの統一戦は来春に延期。井岡とアンカハスの統一戦も大みそか開催を断念した。両陣営とも来日に必要な申請書類は提出済みだったが、日本ボクシングコミッションによると、3日朝にスポーツ庁から正式に「12月31日まで新規入国は受け入れられない」との通達があったという。

 村田VSゴロフキンは日本ボクシング史上最大規模のビッグマッチとして注目されていた一戦だった。延期決定を受けた村田はSNSに心境などを投稿。「感染防止のため、早急に決定した政府の対応に賛同し、支持いたします」と理解を示し「私個人としては今回のことは真に自分の人生を愛するための試練だと受け止めております」と記した。

 3日午後に公式サイトなどで発表した帝拳ジムは「中止」ではなく「延期」とし、今後については状況などを見極めながら開催日時を検討していくとした。本田明彦会長によるとゴロフキン陣営とは延期で合意。海外での放映権を持つDAZN、日本国内でライブ配信するアマゾン・プライム・ビデオの了承済みで「できるだけ早く実現したい」と話した。会場は未定だが、東京開催を視野に入れている。

 一方、井岡が所属する志成ジムは午後4時すぎにアンカハスとの統一戦を「中止する」と発表した。日本人男子初の4階級制覇王者と9度防衛中のアンカハスの一戦は、年間最高試合に選ばれた昨年の田中恒成(畑中)戦以上の好カードだが、あくまで相手の来日不可という事実に対応しての断念。井岡自身は通算10回目となる「大みそか」よりも統一戦実現に強くこだわっているため、陣営は今後も交渉を継続し、開催日時や会場について改めて協議する。また、井岡戦以外のカードの実施については今後検討するという。

 いずれにせよ日本の年末の風物詩となってきたボクシングのビッグマッチは消え、ファンにとっては寂しい年越しとなる。

 ≪SNSで「失望」も理解≫ゴロフキンは自身のSNSに「日本での戦いが延期されたことに非常に失望しているが、公共の健康と安全を常に優先しなければならない」と投稿した。突然の延期決定にも理解を示し、「できるだけ早く(村田)諒太との闘いに戻ることを楽しみにしている」ともつづった。米フロリダ州ハリウッドでトレーニングを行っており、先月29日には「Big Drama in Japanまであと1カ月」と投稿していた。

 ▼年末のボクシング興行 総合格闘技から約10年遅れ、2011年から大みそか開催が本格化。TBSが井岡一翔、テレビ東京が内山高志(元WBA世界スーパーフェザー級王者)を柱に据え、12年大みそかには一日で世界戦5試合が初めて実現した。フジテレビも14年から参入し、井上尚弥を中心に12月29、30日に開催。16年には30、31日の2日間3興行で世界戦8試合が行われた。井岡と内山は6年連続で大みそかのリングに上がった。

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