武居由樹×八重樫東氏 楽しみな元K-1王者とボクシング3階級制覇王者の“化学反応”
元K-1ワールドGPスーパーバンタム級王者の武居由樹(24=大橋)がプロボクシングに転向し、11日に東京・後楽園ホールでデビュー戦を迎える。その武居を担当トレーナーとして指導しているのが元世界3階級制覇王者の八重樫東氏(37)だ。
昨年9月に引退を表明した八重樫氏だが、トレーニングを継続しており、全く衰えていないことは先月11日に行われたチャリティーイベント「LEGEND」で実証済み。武居は連日、そのスピードやテクニックなどを体感しながらデビュー戦に向けて練習に励んでいる。昨年12月にボクシング転向を表明し、まだ3カ月だが、自分が想像していた以上に成長していることは間違いない。
“激闘王”の異名を持つ八重樫氏は、そのファイトスタイルから気持ちの強さがクローズアップされることも多いが、長いキャリアを支えてきたのは高い技術と確かな理論。自らの肉体を“実験台”として積み重ねてきたトレーニングや減量を含むコンディショニング方法はトレーナーとなった現在も財産として残されている。
先月下旬、武居について八重樫トレーナーに話を聞く機会があった。仕上がり具合を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「良い調整ができているかは分からないですね。まだ、デビューしてないので。今回やっていることが、今後の指標にはなると思いますけど」
ボクシングの試合は初めてとはいえ、武居はK―1で25戦している選手。八重樫トレーナーは自身のやり方を当てはめるのではなく、武居の自主性を尊重する姿勢に徹している。
「聞かれればアドバイスはしますけど、武居が自分で経験して自分で考え、自分なりカスタマイズしていけばいいかなと。失敗して試行錯誤すれば、答えは出る。それが不正解だったとしても違うということが分かれば、成功のもとになるはずですから」
八重樫トレーナーは、キックボクサー特有の重心の高さなどボクシングでは致命的になりそうなクセについては早い段階で修正させる一方で、その特性を残すことは否定していない。武居は「良い意味でK―1のスタイルを残し、僕にしか出来ないボクシングをしたい」と話しており、新たなスタイルの構築を目指している。
大橋秀行会長(56)が「2年以内に世界が獲れる」と期待する逸材が、元3階級制覇王者との出会いでどんな“化学反応”を見せ、どんなチャンピオンロードを歩んでいくのか? まずは54・5キロ契約6回戦で高井一憲(34=中日)と対戦するデビュー戦に注目したい。(記者コラム・大内 辰祐)
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