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おうち時間で臨場感を…ファン層の開拓につながりそうなボクシング動画の無料配信サービス

[ 2020年5月3日 12:40 ]

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、国内でプロボクシング興行が行われなくなってから2カ月が過ぎた。日本ボクシングコミッション(JBC)と日本プロボクシング協会(JPBA)は新型コロナ対策連絡協議会で6月末までの興行自粛要請を決めているので、あと2カ月はプロボクシングを生観戦することはできない。そんな状況の中、プロボクシング専門動画配信サービス「BOXING RAISE(ボクシング・レイズ)」は期間限定で無料視聴キャンペーンをスタートさせた。

 無料公開されているのは2019年1月から2020年2月までに国内で開催、配信された66興行、計470試合。東洋太平洋タイトルマッチや日本タイトルマッチ、女子世界戦も含まれている。緊急事態宣言が解除されるまでの期間限定で、会員登録なしで視聴可能となっている。

 「BOXING RAISE」はDANGANや全国のジムが主催している興行の試合動画を配信しており、最新のタイトルマッチ、過去の名勝負など1000試合以上の動画がパソコンやスマートフォンで見られる定額制サービス。月1回は興行のライブ配信も行っており、月額980円(税込み)。テレビで放送される世界戦などは含まれておらず、どちらかといえば、コアなファン向けだが、今回の無料視聴キャンペーンはコロナ禍で生観戦できないファンの“熱”を維持するのに一役買い、また新たなファン層の開拓につながるかもしれない。

 実際に無料公開されている映像を視聴してみた。昨年の後楽園ホールでの試合はほぼ生観戦しているが、改めて見直しても「面白い」と感じる試合は多かった。中でもタイトルマッチやDANGANが仕掛けた賞金トーナメントはレベルも高く、白熱した試合が多い印象だ。「BOXING RAISE」の映像にはテレビと違って実況や解説がないため、選手が激しくぶつかり合う音や観客の声援が響き、会場にいるような臨場感を味わえる。外出自粛が続き“おうち時間”が増えている今こそ、ぜひオススメしたい。

 新型コロナウイルス感染者が100万人を突破しているアメリカでもボクシング興行は中止、延期となっているが、各プロモーターは早くも興行再開の道を模索している。ペイ・パー・ビュー(PPV)での収益が見込めるため、まずは無観客での実施となりそうだ。一方で入場料が収入が大きな割合を占める日本では、テレビ中継される世界戦や協会主催の新人王予選などの一部を除けば、無観客試合は成立しない。今後、お金を払って番組を視聴する習慣が根付けば、国内のボクシング興行のあり方が変わるかもしれない。そのためには魅力あるコンテンツを充実させることも不可欠。コロナ禍が衰退ではなく、発展への助走期間になることを願っている。(記者コラム・大内 辰祐)

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2020年5月3日のニュース