10日引退式の田口良一さん、大満足“叩き上げ”ボクサー人生 後輩へエール「継続は力なり」

[ 2019年12月10日 09:00 ]

現役引退を発表した田口良一さん(撮影・中出健太郎)
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 やり切った…それは偽りのない本音だったのだろう。先ごろ、現役引退を発表した元WBA&IBF世界ライトフライ級王者・田口良一(33=ワタナベ)さん。会見に臨んだその表情は実に穏やかだった。

 「世界戦で2連敗して、そこから再スタートとなった時にモチベーションを上げることができなかった。心技体そろっていなければリングに上がっちゃいけない。その“心”がダメなら他の2つも良い状態にならない。それで、引退かなと思いました」

 06年4月にプロデビューし、07年には全日本ライトフライ級新人王に輝いた。13年4月、プロ20戦目で日本王座を獲得。同年8月の初防衛戦で井上尚弥(大橋)に判定で敗れたが、それが飛躍への転機となった。14年12月にWBA世界王座を獲得し、7度の防衛に成功。17年12月にはIBF王者ミラン・メリンド(フィリピン)との統一戦を制して2団体統一王者になり、リング誌ベルトも獲得した。昨年5月にヘッキー・ブドラー(南アフリカ)に敗れて王座陥落。再起戦では1階級上のWBO世界フライ級王者・田中恒成(畑中)に挑戦したが、判定負け。これが現役最後の試合となった。

 プロ戦績は33戦27勝(12KO)4敗2分け。順風満帆だったとは言えないまでもボクシングを始めた時に思い描いていた以上の歩み。田口さんは「ここまで来れるとは思っていなかった。悔いはないです。満足…大満足です」と言い切った。肩の荷が下りたのか、会見では「僕は“カムバックする”とかは言わないので安心して下さい」とジョークを飛ばし、印象に残った試合を問われると、「強いて一つ挙げるとすれば…全部です」とボケて笑いを誘うなど終始リラックスムード。“ツヨカワ”と呼ばれた元世界王者は、いつも以上に好青年ぶりを発揮していた。

 いじめられっ子が「強くなりたい」と願ってボクシングを始め、世界王者になる…漫画やドラマみたいなストーリーだが、田口さん自身も人気漫画「はじめの一歩」に影響されたボクサーの一人。ボクシング経験ゼロからスタートした“叩き上げ”だった。現役の日本人世界王者6人は全員がアマチュアで実績を残した選手ばかり。今後は“叩き上げ”の世界王者は誕生しないかもしれないが、田口さんは後輩たちへ「継続は力なり。信念を持ってやり遂げてほしい」とエールを送る。自身はジム開設を目指してトレーナー修業中で「やりがいを感じている」と話す。将来的にはプロ育成も視野には入れているという。

 10日に東京・後楽園ホールで引退式が行われ、13年に及んだプロ生活に幕を下ろすが、地元・大田区の東京五輪聖火ランナーに推薦されており、リングとは違うシーンで勇姿を見られるかもしれない。田口さんの今後の人生に幸多いことを祈っている。(大内 辰祐)

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