拳四朗VS京口 近い将来の王座統一戦を期待させた「公開ガチスパー」

[ 2018年12月15日 11:30 ]

<WBCライトフライ級・拳四朗とIBFミニマム級・京口公開スパーリング>京口(左)とパンチを打ち合う拳四朗  (撮影・大塚 徹)  
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 固唾(かたず)をのんで見守る。そんな表現がピッタリだった。13日に東京・後楽園ホールで行われたプロボクシングの興行で、WBC世界ライトフライ級王者・拳四朗(BMB)と前IBF世界ミニマム級王者・京口紘人(ワタナベ)が2ラウンドのスパーリングを披露した。30日に5度目の防衛戦を控える拳四朗と、31日にマカオで2階級制覇に挑む京口の2人による、世界戦直前では異例の「公開ガチスパー」。ヘッドギアをつけ、グローブも試合用より大きかったが、ハイレベルな攻防に場内は緊迫感に包まれ、感心する声がたびたび漏れた。

 ともに関西の大学出身で、アマチュア時代には4度対戦(拳四朗の3勝1敗)した2人は昨年4月、大阪で行われた興行でも3ラウンドのスパーリングを披露している。実は、拳四朗はその興行で日本ライトフライ級王座の防衛戦を予定していたが、5月の世界挑戦が決まったため試合2週間前に急きょ王座を返上。試合が中止となった“おわび”としてスパーを披露し、その相手を務めたのが3週間後に東洋太平洋ミニマム級王座の初防衛戦を控えていた京口だった。今回のスパーは当初ジムで行うはずだったが、大阪の件を覚えていたプロモーターが公開を提案。京口に“借り”があった形の拳四朗も了承して実現したという。

 プロボクシングの興行は、選手との触れ合いイベントやアトラクションの実施など、他競技が力を入れているファンサービスの面で後れを取っている。世界戦になるとテレビ中継の都合で1時間近く試合の間隔が空き、観客がひたすら待たされることもある。他の格闘技に比べて華やかな演出もなく、プラスアルファの楽しみがあまりにも少ない。だが、今回の興行に急きょ組み込まれた公開スパーは、入場料以上の“お得感”があった。ジャブからの連打で徐々に空間を支配していく拳四朗の凄み。最近まで最軽量級だったとは思えない京口の強烈なプレスとパワーパンチ。リングと観客席が近い後楽園だけに、なぜ彼らが世界トップクラスにいるのかを実感できたはずだ。

 年末に拳四朗がV5を達成し、ライトフライ級に上げた京口がWBA王座を獲得すれば、近い将来の王座統一戦も期待できる。2ラウンド目に京口の出足を止めて主導権を握った拳四朗がKOモードに移行したらどうなるのか、京口が1ラウンド目に拳四朗のバランスを崩させた左ボディーを打てる位置に入ったら…など、“本番”を想像しながら見るのも面白かった。もちろん、両者とも目の前の試合に集中してはいるが、「年末、2人とも勝って来年にできれば」(拳四朗)、「王者同士で最高の舞台でやろうと思う」(京口)と統一戦には前向きだ。どちらかがピークを過ぎた状態での対戦ではなく、まだまだ右肩上がりの26歳と25歳。気が早すぎると言われようが、この日本人対決を実現させることが、ファンサービスの充実とともに来年のボクシング界に与えられた課題の1つと感じた。(専門委員・中出 健太郎)

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