王者陥落も…誇りや意地は失っていない「村田諒太」の変わらない価値

[ 2018年10月31日 09:30 ]

顔が腫れ、サングラス姿で一夜明け会見をした村田諒太
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 映画の舞台挨拶で若手女優が不機嫌そうに「別に」と発言し、物議を醸したのは何年前だったろうか?その女優はバッシングを受けて一時期、表舞台から姿を消したが、今では映画、ドラマ、CMなど多方面で活躍している。人間、誰だって話をしたくない時はあるだろう。人気商売の芸能界と違って実力第一のスポーツ界では、結果が悪かった時に極端に口が重くなるのは普通のことだ。そんな中、ボクシングのWBA世界ミドル級王座から陥落した村田諒太(32=帝拳)の対応には感動さえ覚えた。

 試合直後の取材に続き、翌日も日本の報道陣向けに会見。陥落王者の一夜明け会見は異例で、さらに帰国直後の羽田空港でも報道陣に応対した。記者が取材したのは羽田空港だけだったが、正直に言うと、取材拒否というか、無言で通り過ぎるパターンも想定していた。すでに米国で2度取材を受け、しかも長旅の後。断る理由はいくつでもあったからだ。それでも村田はカメラの前に立った。

 腫れた顔を隠すため、黒い帽子にサングラス姿。表情はうかがえなかったが、声のトーンからも無念さは伝わってきた。進退を問われ「それは飛行機の中で考えることではない」と発言するなど多少のイラ立ちを感じさせる場面はあったものの、努めて冷静に丁寧に記者の質問に答えた。9月にひいた風邪が長引いた影響も問われたが、「調整力も含めて自分の実力。あの場で出したものが自分の実力で、それを受け入れるしかない」と潔く敗戦を認め、言い訳は一切しなかった。その毅然とした姿に度量の大きさを感じたし、ベルトを失っても王者の誇りや意地は失っていないのだなと感じた。

 決して前評判が高くなかったロブ・ブラントに敗れたことでボクサーとしての評価は下がったかもしれない。だが、村田諒太という人間の価値は何も変わっていない。注目される今後の去就にについて村田は「自分一人で決められることじゃないし、周りの人たちと自分の意思のすり合わせて」とした。家族や帝拳ジム関係者などと話し合い、いずれ結論を出すだろう。ブラントとのダイレクト・リマッチも浮上しており、個人的には現役続行を期待している。ただ、村田がどんな選択をしたとしても、それが“正解”なのだろうと思う。(記者コラム・大内 辰祐)

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