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美憂 天国に届けた涙の白星「KID、勝てたよ!どうだった」

[ 2018年10月1日 05:30 ]

RIZIN.13 49キロ契約5分3R   ○山本美憂 判定 アンディ・ウィン(米国)● ( 2018年9月30日    さいたまスーパーアリーナ )

ウィンに勝利し、天を仰ぐ山本美憂(撮影・島崎忠彦)
Photo By スポニチ

 山本美憂(44=KRAZY BEE)が9月18日に死去した実弟の“KID”徳郁さんに勝利を届けた。アンディ・ウィン(36=米国)に判定3―0で完勝。16年12月に敗れたリベンジを果たした。メインではキックボクシングルールで那須川天心(20=Cygames)が堀口恭司(27=アメリカン・トップチーム)に判定勝ちした。

 一緒に戦った。心の中で生きているKIDさんと、勝利を期待するファンと。1年9カ月前に敗れた相手に完勝。美憂は涙を浮かべ、まずは感謝の言葉を口にした。

 「皆さんの応援があったからリングに上がることができた。そして戦ってくれたアンディ、ありがとう」

 弟の死から12日。これまで以上に勝利を期待されていることは感じていた。だが、それはプレッシャーにはならなかった。

 「自分への声援はKIDのことを愛してくれていたから。それがうれしかった」

 元レスリング世界女王らしく、鋭いタックルで主導権を握り、グラウンドでの攻防でも反撃の隙を与えなかった。それでも満足はせず「勝てて一安心だけど、もっとスカっと勝ちたかった。打撃で圧倒したかったな」と反省。KIDさんが得意としていた左構えからの右フックも不発に終わり「KIDだったら決めていた。多分、笑ってるね」と照れた。

 KIDさんに憧れ、KIDさんのようになりたくて始めたMMA。「自分の一番の師匠である彼がどう思うか?それを考えたら出るべきだと思った」が今回、リングに立った理由だった。

 練習拠点としているグアムは「KIDが一番好きだった」場所。トレーニング環境などは分からない状況で行くことを決めたが、結果的には「練習環境が自分にとってプラスだった。自分の足りないところをどんどん強くしてくれた」と振り返る。だからこそ勝利だけでなく、成長した姿も示したかった。

 「これからも一日一日、自分が強くなることを考えていきたい。それが目標」

 KIDさんの分まで。美憂の戦いは続いていく。

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