×

【浜田剛史の目】“難攻不落”のゴロフキン、攻略には相打ちの覚悟が必要

[ 2018年5月7日 09:00 ]

WBAスーパー&WBC統一世界ミドル級タイトルマッチ12回戦   ○統一王者ゲンナジー・ゴロフキン KO2回1分53秒 WBA12位バネス・マーティロスヤン● ( 2018年5月7日    米カリフォルニア州カーソン )

マーティロスヤン(右)に左ジャブを繰り出すゴロフキン(AP)
Photo By AP

 1回のゴロフキンは相手をナメてかかっていた。左ジャブがいつものように伸びず、探る程度だったからだ。だが、パンチを食うとすぐに前へ出ていき、2回で試合を終わらせてしまった。打たれると多少は慌てるものだが、試合で何が起きてもいいように想定してすぐ切り替えていた。

 過去KO負けがなかったマーティロスヤンが最初のダウンで「もう勝てない」と諦めてしまった。決して力んで打ってはいないゴロフキンのパンチが、それだけ威力があるということだ。強打者は仕留めようとして力むものだが、ゴロフキンは7、8割の力で打っているから精度が高く、すぐに次のパンチを出せる。ここ2試合はKOできず苦しい試合が続いたが、本人がインタビューで「戻ってきたぞ」と話したとおりの内容だったと思う。

 試合後のインタビューでは次の相手としてカネロ(アルバレス=元WBC王者)やジャマール・チャーロ(WBC暫定王者)の名前は挙がったが、村田の名前は出なかった。ゴロフキン戦を実現させるためにも、次の試合でアピールする必要がある。世界王者としてラスベガスで試合をすることが重要で、村田は既にその立場にいるのだ。米国の人に「村田が見たい」と思わせるようになればいい。

 ゴロフキンに勝つポイントは、相手の良さを消して自分の良さをいかに出せるか、相手が下がる展開をいかにつくれるかだ。ゴロフキンは左のジャブが、とにかくいい。それをもらい続けていたら前に出ることは無理だ。ジャブで動きを止められると、強い右を上からかぶせるように打たれ、左フックも飛んでくる。ある程度ジャブをもらうのは仕方ないが、まともにもらわずに、きつくても前へ出て、ロープへ詰めて打つ場面をつくりたい。

 ゴロフキンは打ち合いに相当自信を持っている。この日のように打たれると、今すぐにケリをつけてやろうとムキになって打ち返してくるはず。それで相打ちの状況になれば、村田にも倒すチャンスが生まれる。打ち合いで仮にいいパンチをもらい、自分が倒れることになっても仕方がないと覚悟して臨むべきだ。ゴロフキンは以前にも1、2回にパンチをもらい、3、4回に強引に攻めて打たれた試合があった。マーティロスヤンはスーパーウエルター級から上がってきた選手で、すぐに打ち返されて倒されたが、ゴロフキンの切り替えの速さは村田にとってはつけいる隙でもある。(元WBC世界スーパーライト級王者)

続きを表示

2018年5月7日のニュース