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山中、引退会見後にサプライズ 子供2人から「卒業おめでとう」

[ 2018年3月27日 05:30 ]

梨理乃ちゃん(左)と豪祐くんからプレゼントを受け取り、笑顔の山中
Photo By スポニチ

 ボクシングの元WBC世界バンタム級王者・山中慎介(35=帝拳)が26日、都内で会見して引退を正式表明した。“神の左”と呼ばれた左ストレートで強敵を次々とKOし、国内歴代2位の世界王座12連続防衛を記録。今月1日、ルイス・ネリ(メキシコ)との再戦に2回TKO負けしたのが現役最後の試合となった。今後は未定で、家族と過ごしながら考えるという。

 会見後にうれしいサプライズがあった。4月15日に初防衛戦を控えるWBA世界ミドル級王者・村田諒太が駆けつけて花束をプレゼント。長男・豪祐くん(5)と長女・梨理乃ちゃん(4)からはメッセージ入り似顔絵を贈られた。「パパ、卒業おめでとう」。2人の声に相好を崩した山中は「髪の毛薄いね」と絵にツッコんで爆笑を誘ったが、「ボクシング中心で迷惑をかけた。これからは家族のためにいろいろしてあげたい」と感謝した。

 「本日をもちましてボクサー、山中慎介は引退します」。冒頭のあいさつ後は目を潤ませたものの、質問にはその都度しっかり考えて答え、ジョークを挟んで笑わせる、山中らしい会見だった。ドーピング疑惑や体重超過の失態を犯したネリにV13を阻まれた上に再戦で連敗。「最後に勝って引退が理想だった」「正直寂しい気持ちもある」と話す一方、「ボクシングを通じて成長させてもらった」「ここまでよくやってきたと自分には言いたい」と12年のプロ生活に満足感を示した。

 帝拳ジムの浜田剛史代表からは「ボクシングで最初に習うワンツー、ストレートだけで世界王者になれた選手は他にいない」とねぎらわれた。中学時代の同級生が命名した“神の左”は当初、本人も「大げさやろ」と感じたという。それでも、大学時代にサボった反省からプロでは努力を積み重ね、「世界王者の中でもトップクラスの引き出しの少なさ」と自覚する分、左ストレートをひたすら磨いた。「結果を出し続けて皆さんも違和感なく“神の左”と口にしてくれるようになった。僕自身もその言葉に恥じない試合をしてこられた」と胸を張った。

 第二の人生は「経験を生かして何事にもチャレンジしていこうかな」という。ボクシングとはの質問に「僕の人生そのもの。山中慎介イコール、ボクシングです」と答えた、記録にも記憶にも残るKOパンチャー。左の拳に向かい「強かったよと言いたい。よく頑張ってくれた」と語りかけて会見を締めくくった。

 ◆山中 慎介(やまなか・しんすけ)1982年(昭57)10月11日生まれ、滋賀県湖南市出身の35歳。南京都高(現京都広学館高)でボクシングを始め、専大では主将。インターハイ2位、国体優勝などアマ47戦34勝(10KO・RSC)13敗。06年1月プロデビュー。10年6月、日本バンタム級王座獲得。11年11月にWBC世界同級王座を獲得して12度の防衛。17年8月、ネリ(メキシコ)に4回TKO負けして陥落。18年3月、ネリとの再戦に敗れて引退の意向を表明。プロ31戦27勝(19KO)2敗2分け。身長1メートル70、リーチ1メートル74の左ボクサーパンチャー。

 【山中記録アラカルト】

 ★V12 元WBA世界ライトフライ級王者・具志堅用高のV13に次ぐ国内歴代2位。具志堅は21歳で世界王者となり、25歳で陥落後に引退。29歳で戴冠した山中は34歳まで5年9カ月ベルトを保持。

 ★世界戦13勝 具志堅、井岡一翔の14勝に次ぎ、長谷川穂積と並んで国内歴代2位。

 ★世界戦9KO 内山高志の10KOに次ぎ具志堅、井上尚弥と並んで歴代2位。

 ★30ダウン 世界戦で奪った合計数。V12のうちダウンなしの勝利は2試合。カールソン(メキシコ)とのV12戦は5度倒した。

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