山中引退…体重超過ネリと“アンフェアマッチ”2回TKO負け

[ 2018年3月2日 05:30 ]

WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦   ○前王者ルイス・ネリ 2回TKO 同級1位・山中慎介● ( 2018年3月1日    両国国技館 )

ネリ(右)に敗れ、観衆に向かって頭を下げる山中
Photo By スポニチ

 ボクシングの元WBC世界バンタム級王者・山中慎介(35=帝拳)が1日、現役引退の意向を表明した。体重超過で王座を剥奪された前同級王者ルイス・ネリ(23=メキシコ)との再戦に2回1分3秒TKO負け。昨年8月に続いて敗れた試合後、「これで終わりです」と明かした。“神の左”を武器に日本歴代2位となる12連続防衛を果たした名ボクサーが、ついにグローブをつるす。

 キャンバスから身を起こした山中の顔は、すっきりとしていた。8500人の観衆へリング上で頭を下げ、「ありがとう」の合唱と拍手に送られて引き揚げた控室。「こうしておけばよかったという悔いはない。もちろん、これが最後です。これで終わりです」

 再戦は4分3秒で終わった。大ブーイングを浴びて登場したネリに1回に1度、2回には3度倒され、レフェリーストップ。だが、最初のダウンの前にカウンターの右ジャブを浴びて手をつき、スリップダウンと判定された場面で流れは決まった。前日計量の1回目で2・3キロも体重オーバーし、減量のダメージもないまま60・1キロでリングに上がったネリのパワーに、一日で59・2キロまで増量したものの、ルール通りに体重を落とした山中の体は耐えられなかった。「あまりにも自分が打たれ弱かった。倒れすぎてしまった」。力なく笑った。

 王座陥落から198日。雪辱のためだけにグローブを握った。初戦は早いタオル投入で試合を止められ、悔いを残した。1週間後にネリのドーピング疑惑が発覚したが、WBCが証拠不十分でネリを処分せず再戦を指示すると即、現役続行を宣言。ネリの体重超過に「ふざけんな!」と声を荒らげるほど、真の決着を望んだ。防衛記録が注目された王者時代よりもモチベーションは高まり、トレーナーや同僚の意見にも素直に耳を傾けた。「早い結果で終わってしまったけど、この試合まで一日一日、目的を持って練習してきた。それだけで現役を続行してよかった」。一人のボクサーにとって、再戦は無駄ではなかった。

 プロ8戦目までKO勝ちはわずか2回、引き分けも2度。食事に無頓着でお金もなく、週4、5日パチンコに通う「ダメな人間だった」。だが、ピンポイントで突き刺す左ストレートを身につけて世界王者へ駆け上がり、“GOD LEFT(神の左)”の名は海外にも鳴り響いた。普段は家族との時間を大事にし、日曜日には公園で2人の子供と遊ぶ良きパパ。家族への質問が出ると「一生懸命やった。それだけ」と声を詰まらせ「息子(長男・豪祐くん)の期待に応えられなかった…」と唇をかんだ。

 ◆山中 慎介(やまなか・しんすけ)1982年(昭57)10月11日、滋賀県湖南市生まれの35歳。南京都高(現京都広学館高)でボクシングを始め、専大では主将。インターハイ2位、国体優勝などアマ通算47戦34勝(10KO・RSC)13敗。06年1月プロデビュー。10年6月に日本バンタム級王者。11年11月、王座決定戦でエスキベル(メキシコ)に11回TKO勝ちしてWBC世界同級王座獲得。17年8月、ネリ(同)に4回TKO負けで13度目の防衛に失敗、陥落した。身長1メートル70、リーチ1メートル74の左ボクサーパンチャー。

続きを表示

この記事のフォト

「ボクシング」特集記事

「井上 尚弥」特集記事

2018年3月2日のニュース