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岩佐 初防衛!鬼門突破も満足感なし「勝ったのが救い」

[ 2018年3月2日 05:30 ]

IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦   ○王者・岩佐亮佑 3―0判定 同級13位エルネスト・サウロン● ( 2018年3月1日    両国国技館 )

11回、サウロン(右)に左ストレートを見舞う岩佐
Photo By スポニチ

 鬼門の初防衛に成功しても、岩佐亮佑(28=セレス)に満足感はなかった。終始、攻めながらダウンが奪えず判定勝ち。モヤモヤ感の充満する会場の雰囲気の中、ヒーローインタビューで岩佐は観客にわびた。「見ての通り、最弱のチャンピオンです」。

 1回から出はなをくじく強烈な左ストレートがさく裂。右ジャブから左ストレート、ジャブを打ち分けて圧倒しても、時間だけが経過した。「つまんねーよ!」。痛烈なヤジが飛ぶ。11回にダウン寸前まで攻めたが、ラスト2回は「勝利最優先」というセコンドの指示を守り、深追いはしなかった。1試合分の映像しか情報のなかった無名のフィリピン人に格の違いを知らしめたが「強さを見せつけられなかった」と唇をかんだ。

 発奮材料には事欠かなかった。世界戦3試合目で初のホーム開催。ともに戦った山中は7年前の日本タイトルマッチで激闘の末に敗れ、挫折を教えてくれた恩人だった。前日計量では、山中がネリの体重超過で悔し涙を流す姿を見た。「真面目にやってる僕らがバカみたい」。自らの勝利で先輩にいい流れをつなぐことを誓った。

 だが、山中はネリに屈し、引退を表明した。「ネリはボクサーとして失態を犯した。ボクシング界から去ってほしい」。そう吐き捨てた岩佐は「自分は勝ったことだけが救い」と、やり場のない怒りを内に向けた。次はドヘニー(アイルランド)との指名試合。王者の貫禄を示すため。そして、リングを去る山中のため。思いを、その拳に乗せる。

 ≪過去8人が挑戦≫日本ジムに所属するスーパーバンタム級の世界王者は岩佐で9人目。過去に王座防衛を果たしたのはV7に成功したWBC王者・西岡利晃だけで、岩佐が2人目。残り7人のうち5人は日本開催で初防衛に失敗し、元WBC王者のロイヤル小林と元WBA王者の下田昭文は敵地で敗れている。

 ◆岩佐 亮佑(いわさ・りょうすけ)1989年(平元)12月26日、千葉県柏市生まれの28歳。中2でセレスジム入門。習志野高で高校3冠などアマ66戦60勝(42KO・RSC)6敗。08年8月プロデビュー。11年11月に日本バンタム級、13年12月に東洋太平洋同級王者。15年6月、IBF世界同級暫定王座決定戦でハスキンス(英国)に6回TKO負け。17年9月、小国以載に6回TKO勝ちでIBF世界スーパーバンタム級王座獲得。身長1メートル71、リーチ1メートル80の左ボクサー。

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