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雑草魂だ!木村 流血ド根性で初防衛「もっとビッグに」

[ 2018年1月1日 05:30 ]

WBO世界フライ級タイトルマッチ12回戦   ○王者・木村翔 9回2分34秒 同級1位・五十嵐俊幸● ( 2017年12月31日    東京・大田区総合体育館 )

9R、コーナーポストで棒立ちになった五十嵐にパンチの雨を浴びせる木村(左)
Photo By スポニチ

 雑草男はひたすら前進した。技術ある挑戦者との間合いを詰め、木村は右を強振して、左をすぐ返す。空振りしても前に出た。4回、右をヒットさせて相手の左目の上から出血させた。7回には逆に自身の右目の上を切った。互いに流血してのド突き合い。「自分はもらっても、より多く当てる昭和のボクシングしかできない」。王者は9回にチャンスを得た。右、左の連打で五十嵐をのけぞらせ、前に出て畳みかけるとレフェリーがストップ。雑草男の根性がアテネ五輪にも出場したエリートを上回った。

 「1年で人生ってこんなに変わるんだなって実感してます」。中3でボクシングを始めたものの、高校では1年で退部。22歳で再開したが、デビューでいきなり黒星を喫した。1年前まで大みそかは「家でだらだら過ごしていた」。人生が変わったのは7月。予想をくつがえし、敵地・上海で五輪2大会連続金メダルの鄒市明(ゾウ・シミン)から王座を奪った。初防衛戦に向けては300ラウンド以上のスパーリングを積み、スタミナ勝負で勝ちきった。

 現在、家賃5万円の5畳ワンルームに住み、週6日午前7時から午後3時まで酒店で配送のバイトをする苦労人はエリートボクサー相手に2連勝。「間違いなく引っ越します。もっともっとビッグになりたい」。上海の奇跡はまぐれではなかったことを明確に示した。

 ◆木村 翔(きむら・しょう)1988年(昭63)11月24日、埼玉県熊谷市生まれの29歳。中3時にボクシングを始め、本庄北高(現本庄高)でインターハイ出場も1年で退部。23歳で競技を再開し、13年4月にプロデビューも1回KO負け。16年11月、WBOアジア・パシフィック・フライ級王座獲得。17年7月、五輪2連覇の鄒市明(中国)に敵地で11回TKO勝ちする金星でWBO同級世界王座獲得。身長1メートル65・0の右ファイター。

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2018年1月1日のニュース