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“無敵の尚弥”だ!世界戦5戦連続KO防衛で3階級制覇へ弾み

[ 2017年12月31日 05:30 ]

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦   ○王者・井上尚弥 3回1分40秒TKO 同級6位ヨアン・ボワイヨ● ( 2017年12月30日    横浜文化体育館 )

2R、井上(右)の強烈な右に挑戦者ボワイヨの顔が激しくゆがむ
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 井上尚弥(24=大橋)がスーパーフライ級ラストマッチに完勝した。初の欧州選手との対決で挑戦者ヨアン・ボワイヨ(29=フランス)を左で4度倒して3回TKO勝ち。WBO同級王座7度目の防衛に成功し、デビューから15連勝とした。世界戦9度目のKO勝利は国内歴代2位タイ。2018年はバンタム級に上げて国内5人目の3階級制覇を目指す。

 最初のパワーパンチで大勢は決まった。1回、井上の左フックでボワイヨがよろける。プレッシャーをかけ、カウンターの左フックでダウンを奪取。3回には左ボディーで3度倒した。実はこの日の朝、右目にものもらいができて=写真=病院へ行き、入場時も右の視界はぼやけていた。それでも圧勝。「ここで大はしゃぎしてるようでは先はないし、もう少しヒリヒリする試合がしたい」。ド派手なスーパーフライ級“卒業式”にも笑顔はなかった。

 52・1キロの階級で3年間戦った。1年目は右拳のケガに、2年目は腰痛にも苦しみ、トレーニングで鍛えた体は2階級上げてもすぐに減量苦を訴えた。だが、食事の工夫や節制で減量を見直し、オーバーワークを防ぐため練習も改善。コンディションづくりで大きく成長した。一方、破格の強さが海外に知れ渡り、試合には恵まれなかった。上位ランカーはおろか他団体王者からも対戦を避けられ、来年2月の米国での統一戦も消滅。体への負担を考えると、これ以上はバンタム級転向を待てなかった。大橋秀行会長は「ものもらいも減量の影響では。スーパーフライ級は限界と思う」と話した。

 17年は節目の年となった。9月のV6戦で待望の米デビュー。バンタム級を主戦場とする相手を棄権に追い込み、米専門誌リングが「パウンド・フォー・パウンド(全階級を通じての最強ランク)」7位に位置づけるなど海外での評価を不動のものとした。10月には第1子(長男)が誕生。お風呂に入れるなど育児に取り組み、試合を控えて妻子が実家へ帰ると自宅から子供の顔を見るために通った。「子供のために負けられない気持ちが出てきた」。記念の“パパ1勝”に「(子供がボクシングを)分かるぐらいになっても強いお父さんでいたいと思うので、どんどん突っ走りたい」と表情を崩した。

 来年から53・5キロのバンタム級で勝負し、亀田興毅、井岡一翔、八重樫東、長谷川穂積に次ぐ3階級制覇に挑む。「チャンスがあれば米国でも英国でも行きたい」。ただし、目標は王座奪取にとどまらない。「その後も統一戦とか。4団体(王座を)まとめちゃえ、とか。そんな勢いですね」。ビッグマッチを求めて、世界が恐れるモンスターが新たなステージに突入する。

 ◆井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川県座間市生まれの24歳。相模原青陵高時代に高校7冠に輝くなどアマ通算81戦75勝(48KO・RSC)6敗。12年10月にプロデビュー。14年4月に当時国内最速となるプロ6戦目でWBC世界ライトフライ級王座獲得。同12月にはWBO世界スーパーフライ級王座を獲得し、当時世界最速の8戦目で2階級を制した。身長1メートル64.7の右ボクサーファイター。

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