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山中 再戦か引退、本田会長示唆 王座陥落から一夜…進退保留

[ 2017年8月17日 05:30 ]

防衛失敗から一夜明け、記者会見を行う山中
Photo By スポニチ

 ボクシングのWBC世界バンタム級タイトルマッチで13度目の防衛に失敗した前王者・山中慎介(34=帝拳)が京都市内で一夜明け会見に応じ、進退を保留した。山中が連打された場面でトレーナーがリングに入り4回TKO負けしたが、レフェリーはタオル投入だけなら試合を続行するつもりだったことが判明。帝拳ジムの本田明彦会長(69)は山中が再起する場合、新王者ルイス・ネリ(22=メキシコ)との再戦になる見通しを明かした。

 山中は会見で、V13の場合は引退も考えていたことを明かした。「正直、納得いくような勝ち方であればそれ(引退)でもういいのかなと思っていた」。だが4回、ピンチの場面で大和心トレーナーがリングに入り、TKO負け。ホテルに帰ってから映像を見た山中は「効いている感覚はなかったけど、実際、バタついていた。トレーナーを責めることはない」とかばったが、「こういう内容だったので逆に(進退を)悩んでいる」と話した。

 前夜、独自の判断で試合を止めにいった大和トレーナーに怒りを示した本田会長は「止めたのは間違い。お客さんとテレビを見ていた人に申し訳ない。5回から再試合したい」と苦笑した。レフェリーを務めたマイク・グリフィン氏からは試合後、「タオル投入だけなら投げ返していた。(山中は)危ない状態ではなかった。年間最高試合になると思って試合を裁いていた」と続行すべき状況だったと明かされた。国内ではタオル投入が棄権を意味するが、海外ではセコンドがタオルを振るなど立会人に意思を示すのが一般的。試合を止める権限があるのはレフェリーだけで、止める必要がない状況でのタオル投入はモノが投げ入れられたことと同じ。セコンドが勝手にリングインすれば失格負けだが、今回は棄権の意思を認めてTKOを宣言した形だ。

 「まだやりたい気持ちはあった。これを乗り切れば、という気持ちもあった」。山中も不完全燃焼を認め、進退については「何カ月も(結論を)引っ張ることはない。落ち着いて考えたい」と保留した。本田会長は「やるのならネリとの再戦しかない。(敵地の)メキシコへ行ってもいい。相手プロモーターも即再戦に応じると言っている」と明かし、山中も「考えられるのはネリだけ」と答えた。全ては山中の気持ち次第だが、本田会長は「やる可能性は少ないのでは」との見方を示した。

 ▽試合VTR 1回は山中がジャブを的確に当ててペースを掌握。2回に入るとネリが前進を始め、山中は終盤に左フックを受けてぐらついた。3回からは中間距離での打ち合いに突入し、ネリが連打。4回、ネリの猛攻を受けた山中がロープで連打を浴びると、大和トレーナーがリングインしてタオルを投入し、TKO負け。山中は5年9カ月守った王座を手放し、具志堅用高(元WBA世界ライトフライ級王者)の日本記録に並ぶ13度目の防衛に失敗した。

 ▽試合中の棄権表明における日本と海外の違い 日本は日本ボクシングコミッション(JBC)試合ルール第69条の5の中に「試合中の棄権はリング内にタオルを投入して表示することができる」とある。一方、米国内統一ルールで「チーフセコンドが試合を棄権する場合、タオルなどの物は投げ入れず、立会人にその旨を知らせること」とあるように、海外では試合を止めるのはセコンドではなくレフェリーとの意識が強い。ただし、JBCルールにも「試合中セコンドがリングに入った場合はそのボクサーは失格(中略)この場合でもレフェリーは試合継続を命じることもある」との記述がある。

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2017年8月17日のニュース