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具志堅氏 V13戦へ挑む山中にエール「この1試合で人生変わる」

[ 2017年7月1日 06:40 ]

WBC世界バンタム級タイトルマッチ   王者 山中慎介《12回戦》同級1位 ルイス・ネリ ( 2017年8月15日    島津アリーナ京都 )

13度目の防衛に挑む山中にエールを送った具志堅氏
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 ボクシング世界王座13連続防衛の日本記録を持つ具志堅用高氏(62=元WBA世界ライトフライ級王者、白井具志堅スポーツジム会長)がインタビューに応じ、13度目の防衛戦に挑む山中慎介にエールを送った。20代でV13を達成した自身に対し、30歳を超えても同じ階級で戦い続ける山中の精神力の強さを強調。日本記録に並べば15連続防衛も可能との見方を示した。

 ――山中が13度目の防衛戦に臨む。

 「あと1つだから歴史を塗り替えてほしいなあ。先日会って話をしたけど、勝てる雰囲気があったね。ある番組で俺の(現役時の映像の)動きを見て、今まではできなかったフットワークを取り入れたいと言っていた」

 ――自分の記録に並ぶ選手を予想したか。

 「以前は内山(高志)君、その後は山中君しかいないと思っていた。山中君はモレノとの2試合が大きい。最初の試合は判定、次はKOした。これは13回防衛すると思ったね。自分はハイメ・リオス(パナマ)が一番強い相手だった。初防衛と5回目、2度破ったのが13回につながった」

 ――山中の強さは。

 「パンチ力と精神力。プレッシャーに強い男かな。試合運びが冷静で、若い選手にはできない。それと、やっぱり左ストレートが凄い。体のバネもある」

 ――左ストレートはどこが凄いのか。

 「当たる瞬間にグーッと(体を)ひねってるところじゃないかな。俺だったら、こんなにひねったら絶対に次のパンチが打てない。だから一発勝負だよね、山中君は。それが当たってダウンだから次を打たなくてもいい。同じサウスポーだけどそこだけが違うかな」

 ――本人は記録は意識しないと言う。

 「はっきり口に出しなさいと言ってるんだけど、言わないんだな(笑い)。そういう性格だから冷静な試合ができるんでしょう」

 ――長期防衛で一番難しいことは。

 「私生活。ボクシングは生活のリズムが壊れたら終わり。山中君は夜遊びとかしないんじゃないかな。俺はそんなに減量は苦しくなかったけど、ずっとバンタム級の体重を維持するなんて普通はできないよ。俺は20代だったし、練習しても試合しても回復力が早かった。30歳を過ぎたらやっぱりきついと思う」

 ――環境も違う。

 「今は勝ち続けるのは大変。みんなスマホを持っていて、毎日見ていれば目は悪くなるし、寝ていても電話する。遊ぶところは多いし、誘いも多い。俺は試合が決まったらテレビや本は見なかった。2カ月誰とも会わず、寝てるかシャドーやってるか、鏡の前でファイティングポーズを取ってガードの確認。その繰り返し。それが今はなかなかできない」

 ――今回、改めて記録が注目されている。

 「山中君はこの1試合で人生が変わる。防衛12回で終われば今までと一緒。勝てば14、15回と行くと思う。ボクシングの素晴らしさを伝えてもらって、見るファンも増やしてほしい。俺も現地へ行くから生で見たいね」

 ◆具志堅 用高(ぐしけん・ようこう)1955年(昭30)6月26日、沖縄県石垣市生まれの62歳。興南高でボクシングを始め、協栄ジムから74年5月にプロデビュー。76年10月にWBA世界ライトフライ級王座を獲得し、80年10月まで日本記録の13連続防衛に成功。V3〜V8の6連続KO防衛も日本記録。81年3月、沖縄県具志川市(現うるま市)でフローレス(メキシコ)との再戦に12回KO負けし、王座から陥落して25歳で引退した。プロ通算24戦23勝(15KO)1敗。

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2017年8月1日のニュース