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村田「ミドルはおいしい階級」評価高いエンダム倒せばベガス進出も

[ 2017年4月4日 05:30 ]

村田諒太・独占インタビュー【下】

世界戦へ向け意気込みを語る村田
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 ――エンダムはアテネ五輪とリオ五輪に出て、プロではWBA暫定王座やWBO王座を獲得した選手。イメージは?

 「一発もらうと倒れるけど、倒れたラウンド以外は全部支配するのが凄い。世界戦では(15年6月に)レミューに4度、(12年10月に)クイリンに6度ダウンした試合でも、ポイントでは競っていた。本当に脅威的です。海外のプロモーターも“あまりお勧めできない”と言っていたみたい。それだけ評価の高い選手。昨年末の(WBAミドル級)暫定王座戦でも、印象的なKOで勝っていて、状態が凄くいい。リズムが途切れずに足が動いて、ポンポン手を出してくるのが強みです。あとは諦めないし、ハングリーです」

 ――評価が高い相手に勝ってこそ世界王者。

 「そう思います。(対戦交渉していたWBO王者)サンダースが相手だったら“あんな王者に勝っても”みたいなところがある。エンダムだったら僕も納得できる。もちろん、(3団体統一王者の)ゴロフキンに勝てば、そりゃ一番ですけど。そこはちょっと離れちゃってるところなんで」

 ――分析や攻略法は。

 「相手のいいところはリズムなので、いかにリズムを狂わせるか。右カウンターがうまいので、それをもらわずにプレッシャーをかけていって、強いパンチを数多く打ち込む。打たれ弱いから、一発当たれば倒れる。その場面を早い段階でつくれるかどうか。僕のいいところで勝負して、それを超えたら相手が強く、潰せたら僕が強い。単純な勝負と思います」

 ――スパーリングで重点を置いている部分は。

 「まずは入り際に気をつけないと。右を合わせてくるんで。ジャブをいっぱい突いてきて、その後でオーバーハンド気味の、フックとストレートの中間みたいな右をもらわないこと。無理やり入った時にアッパーも打ってくるので、いかにうまく入って打てるか。そこの勝負になりますね。あとは意外とジャブも有効じゃないかな。エンダムはジャブが得意だけど、そういう選手って相手にジャブを打たれたら嫌なんですよ。ジャブだけでは試合をコントロールできないと思わせて、リズムが崩れると、だんだん大振りになってくる。レミューやクイリンとの試合もそうで、ダウンした後に崩れることが結構ある」

 ――勝つのならKO。

 「何度かダウンを取って判定か、KOで勝つかです。ダウンが1回もなかったら、判定では(相手に)持っていかれますよ。本当にポイントを獲るのがうまい」

 ――以前、敵地での試合でもいいと言っていたが。

 「サンダースが相手だったら、僕、それこそイギリスへ行きますよ」

 ――エンダムだと敵地は嫌だった?

 「フランスでしょ?行ったことないんです。エンダムとやるなら、こっち(日本)でやりたい気持ちがあった。勝ちに徹すると、判定になる可能性もある。そうすると、ボクサータイプとファイタータイプの試合って、(ジャッジが)ジャブを取るか、プレッシャーを取るかでポイントが分かれちゃうんですよ。となると、敵地かホームか、全然違うと思いますよ。サンダースだったら初めからプレッシャーかけていって、“ポイントはどうせお前が取ってんだろう、最後はお前が倒れて終わるんだから”と思ってやればいい。判定まで行かなきゃいいだけの話なんですけど」

 ――もし、エンダムと判定まで行った場合を考えると…。

 「でも、あれを倒しきったら、凄いと思う」

 ――自分が世界王者になった姿は想像できる?

 「できますね。プロボクシングが面白いのは、世界王者になることがゴールであり、スタートであること。勝ったらそこが新しいスタートで、次は海外で試合とか、ラスベガス進出とかがありえる世界。負ければエンディングになるかもしれないけど。面白いです。予想のつかない人生って。いったいどこに僕のゴールはあるんだろうって」

 ――ミドル級だからこそ、ベルトを獲ればその次が大きく開けてくる。

 「そうなってほしい。夢見て、目標としてやっているので。エンダムを軽く見ているわけではなけではないんですが、それでも先を考えてしまうぐらい。軽量級では、米国や英国で戦っても日本ほどファイトマネーをもらえない。そういった意味でラッキーですね、ミドル級は。上げ幅がいくらでもある。(ボクシング中継の米最大手)HBOのメインを自分が張るとか、(有料の)ペイ・パー・ビュー放送に乗るなんてミドル級だからこそ。おいしい階級です」

 ――米国で世界戦をやりたい思いは強い?

 「国内のスポーツマーケットは小さいと感じます。向こうは動くモノが違うし、アメリカンドリームって本当にある。1試合のファイトマネーも100万ドル以上が当たり前なので。それこそ3回で倒したら“あいつは10分間でいくら稼いだ”とか言われたり。マイク・タイソンが1回でぶっ倒して何億円稼いだって、昔よく言ってましたよね。そんな感じで夢が膨らみます」

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2017年4月4日のニュース