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村田が語る「あれは本物」 尚弥に見る急所に当てる能力の高さ

[ 2017年1月10日 10:30 ]

昨年12月30日の防衛戦で河野から2度目のダウンを奪い6回TKO勝利した井上
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 プロボクシングWBO世界ミドル級3位の村田諒太から「あれは本物です」という言葉を何度か聞いた。アレとは同スーパーフライ級王者の井上尚弥のことだ。昨年末の世界戦では40戦以上のキャリアを誇る河野公平と対戦。「タフボーイ」の異名を持つベテランを世界5階級制覇ノニト・ドネアばりの左フック一閃で大の字にした。この目で見た最近の世界戦のダウンシーンでは記憶に残るシーンだったが、河野自ら「番狂わせを狙う」と言っていたように、実力の違いは明白だった。

 村田によると、井上は1つのナックルを急所に当てる能力が非常に高いという。当てる時は、ナックル3つよりも2つ、2つよりも1つの方が破壊力は増すようで、井上の拳は誰よりも尖った形で相手に突き刺さるという。パンチを打ち抜くのではなく一発を当ててバランスを保ち、そこから続けるコンビネーションは脅威。だが、衝撃が大きい反面、拳へのダメージが大きいのは難点だ。

 パウンド・フォー・パウンドに名を連ねるゴロフキンや“ロマゴン”のように、顔面がのけ反るほど鋭いジャブ。そして硬いナックルによって繰り出される近代的スタイルを井上も確立しつつある。河野戦で見せたように、立ち上がりに攻めておきながら、途中からあえて防御に回り、河野を左フックの「ワナ」へと誘い込む戦略も併せ持ち、武器を最大限に生かしている。

 14年12月30日に行われた2階級制覇王者のナルバエス戦では鮮烈な2回KOで世界にインパクトを与えたが、あれから2年。そろそろ次の本物と拳を合わせる怪物の姿が見てみたい。

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2017年1月10日のニュース