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さらばアリさん…生まれ故郷で追悼式 沿道の10万人“大合唱”

[ 2016年6月12日 05:30 ]

大勢の市民に見守られながらルイビルの市街地を巡回するアリ氏の遺体を乗せた車列(AP)

 ボクシング元世界ヘビー級王者で3日に死去したムハマド・アリ氏(享年74)の追悼式が10日(日本時間11日未明)、出身地の米南部ケンタッキー州ルイビルで営まれた。ビル・クリントン元大統領(69)や映画でアリ氏を演じた俳優ウィル・スミス(47)ら約1万5000人が参列。アリ氏の娘は父の名言にあやかり「蝶よ舞え、また会う日まで」と弔辞を述べ、最後の別れを告げた。

 「彼こそがグレーテスト(最も偉大)だった」。アリ氏の信奉するイスラム教のほかキリスト教、仏教、ユダヤ教の宗教関係者が出席して弔辞を送り、祈りをささげた。主催者によると、アリ氏の生前からの希望に沿い、さまざまな宗教の聖職者を招待したという。

 差別など米国社会の闇に挑み、常に少数派に寄り添ったカリスマを慕う著名人も参列。ボクシング元世界ヘビー級王者マイク・タイソン氏(49)とレノックス・ルイス氏(50)、元カリフォルニア州知事で俳優アーノルド・シュワルツェネッガー(68)、女優ウーピー・ゴールドバーグ(60)、アリ氏の映画にも出演したスパイク・リー監督(59)、元サッカーイングランド代表デビッド・ベッカム氏(41)らが姿を見せた。

 クリントン元大統領は弔辞で「信念を貫いた真の自由人だった」と称えた。アリ氏が自らのボクシングスタイルを「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と評したことにあやかり、娘のラシェダさん(46)は「父はようやく病魔から解放された。お父さん、愛しています。蝶よ舞え、また会う日まで」と述べると、会場は温かい拍手に包まれた。

 共同電によると、式に先立ち、アリ氏の棺を乗せた車は市内を巡回。約30キロの道中、沿道を埋め尽くした推定10万人から「アリ!アリ!」の大合唱が青空に響き、車のフロントガラスは投げ入れられた花で覆われた。アリ氏の半生を描いた映画「ALI アリ」に主演したウィル・スミスは棺を車へ乗せる大役を務め、地元メディアへ「2時間の追悼パレードは愛であふれていた。全ての世代が別れを惜しみ、非常に素晴らしかった。“祝祭”という言葉の方がふさわしいかもしれない」と語った。

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