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ガッツ石松“幻の右”は「アリ氏からヒントを得たものだった」

[ 2016年6月5日 06:15 ]

ガッツ石松

ムハマド・アリ氏死去

 ムハマド・アリ氏の訃報に、日本の著名人からも追悼の声が上がった。ボクシングの元WBC世界ライト級王者でタレントのガッツ石松(67)は、アントニオ猪木氏との一戦を会場で観戦。スポニチ本紙の取材に、代名詞となっている“幻の右”は「アリ氏からヒントを得たものだった」と明かした。

 ガッツは「息子からアリ氏が亡くなったことを聞いて信じられなかった。パーキンソン病で調子を崩していることは知っていたが」と寂しそうに話した。

 現役時代の代名詞“幻の右”は、アリ氏の“ファントムパンチ”をヒントに生み出した。「アリ氏が得意とした足を使っての素早いワンツーストレート。自分なりにアリ氏の試合を見て参考にした」と明かした。

 一度だけ対面したことがある。猪木氏との世紀の一戦を6日後に控えた76年6月20日、アリ氏が後楽園ホール(東京都文京区)で公開スパーリングを行った後だった。関係者を通じて会って握手を交わしたものの「顔を横に向けていて目が合わなかった」という。当時を振り返り「アリ氏にとってみればいきなり紹介されて“この人は誰だ?”と思ったんじゃないか。悪気はなかったと思う」と語った。

 世紀の一戦は会場の日本武道館(東京都千代田区)で見届けた。場内は「ボクシングとプロレス、本気で強いのはどっちなのか」と胸を高鳴らせる観客の熱気に満ちていた。猪木氏の関係者から「“アリは世界のヒーローなんだから少しでも傷つけたら猪木に弾を撃ち込む”という物騒な情報があったらしいと聞いた」と明かした。

 「ボクシングは距離を取って戦うし、プロレスは組んで戦う。水と油のような関係。戦う前からかみ合わないと思っていた」。賛否が分かれた試合について「互いにやるべきことをやった。やっぱりスターはリングで動いているだけで絵になった」と振り返った。

 都内の自宅にあるリングには、今もアリ氏のブロマイドが飾られている。息子から訃報を知らされたときには、思わず「アリィ?」という言葉が出たほど驚いた。「暴言を吐くし、好き勝手な行動をして話題を振りまいた。本当は凄く頭が良く人間的な魅力があるからこそ多くの人に愛されたのだろう」と英雄を追悼した。

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2016年6月5日のニュース