三浦 米での再戦に道、認められた魂ぶつかり合う壮絶ファイト
大和魂を見せつけた激闘は日本のボクシング界に大きな功績を残した。21日に米ネバダ州ラスベガスのマンダレイベイホテル・リゾート&カジノで、同級1位で無敗の最強挑戦者フランシスコ・バルガス(30=メキシコ)と5度目の防衛戦を行ったWBC世界スーパーフェザー級王者・三浦隆司(31=帝拳)のことである。
試合はWBC世界ミドル級タイトルマッチで4階級制覇王者コット(プエルトリコ)と元スーパーウエルター級王者アルバレス(メキシコ)が激突する“中南米スター対決”のセミファイナルで行われた。米国でなじみのない日本人の異例の扱いは、敵地での初防衛戦を含め、世界戦4戦連続でメキシカンを沈めた“キラー”がメキシコのスター候補を迎え撃つマッチメークによって実現。現地で観戦したWBC世界バンタム級王者・山中慎介もうらやむほど、日本人選手が戦った米国の舞台では過去最高のリングだった。
試合はいきなり動いた。初回、三浦が相手の右フックでぐらつき、4回に“ボンバーレフト”をさく裂させてダウンを奪い逆転。強打でペースをつかむと8回終了間際には再び左でKO寸前に追い込んだ。だが、9回。捨て身で立ち向かってきた相手の連打を浴びてダウンすると、再開後に右ストレートで顔がのけぞりレフェリーがストップ。驚きの大逆転劇は、メーンを含めたこの日の興行で最も歓声が上がった瞬間だった。
これが日本だったとすれば、この戦いに続きはなかったかもしれない。しかし、試合後のリング上でWBC、中継局HBO、主催のゴールデンボーイ・プロモーションが再戦に意欲を示したのだ。試合前、三浦が米国で継続して戦う条件に、帝拳ジムの本田会長は「まずは勝つこと。次に内容」という2点を挙げたが、敗れはしたものの、魂がぶつかり合った「内容」が認めらたのだ。
「勝利」で次のステップに進むことはできなかったが、再び米国の地に立つ資格を獲得した男にチャンスは残された。初防衛戦から敵地に乗り込む厳しい路線に挑戦したからこそ、たどり着いた夢舞台。そして、タイミングを逃せば遠のくビッグマッチ。12年10月、米国で「世紀の一戦」とも言われた試合で西岡がドネアに敗れた。その時、本田会長が「次に続いてほしい」と口にした言葉が思い出される。(宗野 周介)
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