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井上尚 衝撃の世界最速2階級制覇「いつもの自分の姿が出せた」

[ 2014年12月30日 20:58 ]

2R、猛ラッシュでKO勝利の井上尚弥

WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ 同級8位・井上尚弥 KO2回3分1秒 王者・オマール・ナルバエス

(12月30日 東京体育館)
 圧巻の2階級制覇だった。大橋ジムの先輩・八重樫東が7回KOで敗れた直後のメーン・イベント。沈んだムードに包まれた会場が、井上尚弥(21=大橋)のファイトで沸き返った。

 02年から12年間、王座に君臨するWBO世界スーパーフライ級王者オマール・ナルバエス(39=アルゼンチン)から計4度のダウンを奪い、最後は強烈な左ボディーで名王者に10カウントを聞かせた。2回KO勝ちでの2階級制覇。プロ8戦目での2階級制覇はポール・ウェア(英国)の9戦目を抜いて世界最速での達成となった。

 「うれしいです。減量から解放され、いつもの自分の姿が出せた」

 今年4月、日本人最速6戦目で世界王座に就いたWBC世界ライトフライ級王座は2階級下に位置する。3・2キロ体重調整に余裕ができたことで減量苦から解放され、スピードに加え、パンチにパワーが加わった。

 もちろんプレッシャーはあった。「押しつぶされそうにもなったけど、若さと勢いで乗り越えようと」。初回のゴングから25秒、テンプル(こめかみ)への右フックで最初のダウンを奪った際、右拳を痛めた。それでも、ダメージを隠したまま最後は「前から練習してて、打てば倒れる」と自信を持っていたボディーで沈めた。

 まだ21歳。その潜在能力の高さは計り知れない。「防衛、(他団体との)統一と選択肢は広がる。どんな挑戦者でも受けて立つ」。その視線の先には軽量級最強といわれるローマン・ゴンサレス(ニカラグア)を見据えていた。

 ◆井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川県座間市生まれの21歳。6歳の時、アマボクサーだった父・真吾さん(43)の指導で始める。新磯高(現相模原青陵高)時代に高校タイトル5冠、全日本選手権優勝、インドネシア大統領杯優勝で計7冠。ロンドン五輪出場を逃し、12年10月にプロデビュー。13年8月に日本ライトフライ級王座獲得。今年4月に日本人最速6戦目でWBC世界同級王座獲得。身長1メートル63、リーチ1メートル70。右ボクサーファイター。家族は両親と姉、プロボクサーの弟・拓真(19)。

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2014年12月30日のニュース