井上“前哨戦”は完勝!王者のグローブ変更要求にも余裕のOK
30日のトリプル世界戦の調印式が28日、都内で行われ、WBO世界スーパーフライ級王者のオマール・ナルバエスが、用意されたグローブの色にクレームをつけて変更を要求するドタバタ劇があった。ピリピリムードの王者とは対照的に、挑戦者の井上尚弥は余裕たっぷり。リング外では早くも神経戦が始まった。
不穏な空気が会場に流れたのは調印後に行われたグローブチェックの時だ。本来はグローブに不備などがないか形式的に確認して終わるものだが、ナルバエス陣営は用意された王者カラーの赤のグローブを取り囲んで10分近くにわたって協議。そして赤グローブを拒否して、井上と同じ黒グローブを要求した。
ナルバエスは「同じ条件で戦うのが理想だ。黒は見えにくく、赤は見えやすいと思った」と訴えた。井上陣営があっさり変更要求を受け入れたため、それ以上の騒動にはならなかったが、2人が同じ色のグローブを使うという珍しい試合が成立した。
陽動作戦か神経質なのか王者の本心は分からないが、井上は「こういうこともあると思っていた」と涼しい顔。ただ世界王座計27度防衛の伝説的な選手の小ざかしい振る舞いに「オーラは感じなかった」と言い切った。
2階級上げた井上は絶食なしに順調に体重を落としている。「過去一番の仕上がり」と話す表情は生き生きしている。「そろそろ世代交代の時だと思う。自分が必ず王者になります」。そう誓った21歳は39歳の王者よりも余裕たっぷりだった。
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