井上 次は2階級制覇 八重樫破ったロマゴンに「借り返したい」

[ 2014年9月6日 05:30 ]

6回、サマートレック(左)に右アッパーを見舞う井上

プロボクシング WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ12回戦 王者・井上尚弥 TKO11回1分8秒 同級13位サマートレック・ゴーキャットジム

(9月5日 東京・代々木第2体育館)
 WBC世界ライトフライ級王者・井上尚弥(21=大橋)が11回1分8秒TKO勝ちで初防衛に成功した。世界初挑戦のサマートレック・ゴーキャットジム(29=タイ)から2度ダウンを奪い、最後はレフェリーストップ。4月に日本人最速記録のプロ6戦目で獲得した世界王座を守り、デビューから7戦全勝とした。次戦からはフライ級に転向し、まずは2階級制覇を狙う。

 「お客さん、シラけてるんだろうなあ。きょうの相手なら前半KOという感じで来たのに、何やってんだって」。リング上の井上はあらゆるパンチに手応えを感じつつ、歯がゆさをかみしめていた。4回に右フックで、6回に左ボディーでダウンを奪いながらも仕留められない展開。「めちゃめちゃタフだった」相手の顔色から10回には判定勝ちも覚悟した。11回、アッパーからの猛攻でワンツーを打ち込むとレフェリーがたまらず試合を止めたが「情けない試合をして申し訳ない。正直、勝ててホッとした」と反省が口を突いた。

 4回か5回に「打てないほどじゃないけど」両拳を痛めた。大橋秀行会長は「ライトフライ級では限界と思った。見てて苦しそうで、練習の時のパンチじゃなかった」と10キロ以上の減量苦も指摘した。だが、井上は「減量の影響じゃない。技術的に倒せなかった」と言い切る。ボディーが効いていると分かりながら、そのポジションに入りきれなかったと分析し「まだまだ甘いな」と苦笑いした。それでもラフ気味に来る挑戦者のパンチを軽いフットワークで避け、的確にブロックし、堅いガードを崩すため左構えに変えて誘ったかと思うと、接近戦ではアッパーとボディーを突き上げ、ジャッジ3人ともフルマークの完勝。スマートさとタフさを見せながら「きょうの内容を5ラウンドでまとめられたら最高」と分析する姿は、とても21歳とは思えない。

 国内最速記録をつくった、衝撃の戴冠から5カ月。今回からスパーリングの相手に外国人選手を招へいし、減量対策として管理栄養士に食事面のアドバイスを頼んだ。父・真吾トレーナーと取り組んできた独自の調整法を“世界仕様”に変えたのは、今後の戦いを見据えたものだ。「次でフライ級に上げることはほぼ確実。どの団体のチャンピオンも強いので凄く楽しみ」。試合後はローマン・ゴンサレスがジムの先輩・八重樫を破り、WBCフライ級王座に就くのをリングサイドで見届けた。「やっぱり強いですね。でも八重樫さんの戦い方でラウンドごとにはロマゴンも嫌がる反応を見せていたし、ワンサイドではなかった」。そう話した“怪物”は「いつかは八重樫さんの借りを返したい」と無敗の3階級制覇王者に宣戦布告した。

 ◆井上 尚弥(いのうえ・なおや)1993年(平5)4月10日、神奈川県座間市生まれ。6歳の時、アマボクサーだった父・真吾さん(42)の指導でボクシングを始める。新磯高(現相模原青陵高)時代に高校タイトル5冠、全日本選手権優勝、インドネシア大統領杯優勝で計7冠。ロンドン五輪出場を逃し、12年10月にプロデビュー。13年8月に日本ライトフライ級王座獲得。今年4月に日本人最速6戦目でWBC世界同級王座獲得。身長1メートル63、リーチ1メートル70。家族は両親と姉、プロボクサーの弟・拓真(18)。

 ▽世界のフライ級戦線 現在WBAスーパー王座とWBO王座を持つのがファン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)。WBA正規王者は7度防衛中のファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)で、IBF王者は井岡一翔の挑戦をはね返したアムナット・ルエンロン(タイ)。WBC王座は無敗の3階級王者ローマン・ゴンサレスのものになった。井岡は今月16日に再起戦を行い、年末に再び王座挑戦を計画している。八重樫も再起する。フライ級は現在、日本の人気選手も絡む熱い階級になっている。

 ▼井上―サマートレックVTR 手数とスピードで上回る井上が完勝した。慎重な立ち上がりから4回、左右の連打から右フックで最初のダウン。6回には強烈な左ボディーで倒した。終盤はやや攻めあぐんだものの、11回の連打で仕留めた。頭を下げ、低い体勢で出るサマートレックを軽いフットワークでかわした防御も見逃せない。攻守ともに安定感のある試合運びだった。

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