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高山 4団体制覇逃す 12回“覚悟”打ち合いも0-3判定●

[ 2014年8月11日 05:30 ]

IBFとWBOのミニマム級世界王座統一戦でダウンを喫した高山勝成(AP)

 プロボクシングのIBF、WBO世界ミニマム級王座統一戦12回戦が9日(日本時間10日)、メキシコ・モンテレイで行われ、日本人初の4団体制覇を目指したIBF同級王者の高山勝成(31=仲里)はWBO同級王者のフランシスコ・ロドリゲス(21=メキシコ)に0―3の判定で敗れた。3回にダウンを奪われて中盤以降は激しく打ち合ったが、劣勢を挽回できず、王座統一と3度目の防衛に失敗した。

 諦めなかった。最終12回。高山は腫れた両まぶたから血を流しながら接近戦で打ち合った。被弾も多いが、覚悟の上だ。ロープまで追い込んだところで試合終了のゴング。拳を突き上げ、大観衆に勝利をアピールした。

 しかし、判定は無念の0―3。米国人のジャッジ3人は3、5、11点差と評価に開きこそあったが、全員がロドリゲスを支持した。「敵地でやると決めた以上、判定は仕方がない。相手はフェイントも含め、思った以上に力があった。彼が頑張ったと思う」と高山は統一王者を称えた。

 軽快なフットワークで相手を翻ろうし、滑り出しは順調だった。しかし、IBF王座を獲った昨年3月のマリオ・ロドリゲス戦と同様に3回にダウンを奪われた。足が絡んで前後にずらしておくべき両足がそろった。そこへ下からの左フックを胸付近に受け、背中から派手に倒れた。「しゃあない。受け入れるしかない」。一撃離脱に徹したマリオ戦から戦術を変え、積極的な打ち合いに活路を見いだそうとしたが、実らなかった。

 苦境でも戦い抜いた。中出博啓トレーナーが7月上旬に脳動脈瘤(りゅう)を手術。15歳で競技を始めたころから苦楽を共にしてきた“兄貴”が大事な調整期間中に約1週間離脱した。7月下旬には高山自身が古傷の右まぶたを腫らし、スパーリングを約50ラウンドで打ち切った。アクシデント続きでも中出トレーナーは「絶好調だった」と言い訳にしなかった。

 メキシコで獲得した王座を同じ地で失い、無冠となった高山は今後について明言を避けた。「今は何も考えていない。まずは体のダメージを見て、どんな道に進むのかを考えたい」。競技生活を終えた後のことも考え、今春、菊華高(名古屋市)に入学した31歳が、ボクサー人生の岐路に立った。

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