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三浦完全アウェーで快挙 日本人3人目の海外防衛

[ 2013年8月19日 06:00 ]

セルヒオ・トンプソン(左)に右パンチを浴びせる三浦隆司

WBC世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 王者 三浦隆司○判定●同級1位 セルヒオ・トンプソン

(8月17日 メキシコ・カンクン)
 敵地に乗り込んだ王者三浦隆司(29=帝拳)は同級1位で挑戦者のセルヒオ・トンプソン(29=メキシコ)を3―0の判定で下し、初防衛に成功した。「ボンバーレフト」と呼ばれる左の強打をきっかけに2、6回にダウンを奪取。8回には逆にダウンを喫したが、激しい打ち合いを制した。日本人世界王者の海外での防衛成功は渡辺二郎、西岡利晃(2回)に続いて史上3人目の快挙となった。

 初めての防衛戦、初めての海外での試合。会場はカリブ海沿岸にあるリゾート地カンクンの闘牛場。円形の客席では約8000人のメキシコ人が地元出身の挑戦者へ、鳴り物入りの応援を繰り広げた。入場時に三浦は大ブーイングを浴びた。おじけづく要素はいくらでもあった。だが、ボンバーレフトはいきなり火を噴いた。

 2回。11連続KO勝利中の相手の顎に、三浦の左アッパーが食い込んだ。足がふらつくトンプソンに連打を浴びせ、右フックでダウンを奪った。さらに6回。左ストレートが顔面を捉えた。足が止まった相手に連打を加え、2度目のダウンを奪った。8回には右フックでダウンを喫する場面もあったが、試合は終始三浦が支配した。判定は3―0。圧勝だった。

 「凄くうれしいが、内容は満足していない。相手は予想以上にパンチが強く、ふらついてから頑張っていた」。KOのチャンスを逃した悔しさは大きかったが、日本人世界王者の海外での防衛成功は史上4度目(3人目)の快挙。地元びいきの判定でも挑戦者を救えないほど、文句なしの内容だった。帝拳ジムの本田明彦会長は「異様な雰囲気だったが、大したものだ。メンタルの強い選手だ。海外だと、このぐらいの試合でも判定で負けることはいくらでもある」と王者を称えた。

 この一戦に備え、米ネバダ州ラスベガスで合宿を張った。世界を制した左の強打を、打った後に体勢が崩れないよう修正した。右もフックの精度を上げた。「課題が多すぎる」と反省ばかりを口にしたが、王座に就いてから4カ月、技術の向上に努めて成果を出した。

 試合後はカットした右まぶた上の治療のため救急車で病院へ直行した。次戦は11月に国内を予定しているが、来年以降のWBA同級王者・内山高志(ワタナベ)との統一戦の期待も膨らんできた。リングサイドにはアテネ五輪金メダリストで、WBA世界ライト級暫定王者で3階級制覇王者のユリオルキス・ガンボア(キューバ)の姿があり、本場のスターとのビッグマッチの可能性もある。「自分はまだまだこれからです」と謙遜する王者の目の前には大きな夢が広がっている。

 ◆三浦 隆司(みうら・たかし)1984年(昭59)5月14日、秋田県三種町生まれの29歳。金足農高時代に国体少年ライト級優勝。横浜光ジムから03年7月プロデビュー。09年7月に日本スーパーフェザー級王座を獲得し4度防衛。11年に帝拳ジム移籍。1メートル70。サウスポー。日本フェザー級王座を2度防衛した三政直は叔父。家族は夫人と長男。

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2013年8月19日のニュース