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しずちゃん 遅刻してドタバタ不戦勝3連覇「ちょっとパニック」

[ 2012年12月25日 06:00 ]

不戦勝で連覇となったしずちゃん

アマチュアボクシング 全日本女子選手権最終日 山崎静代 不戦勝 石井智紋

(12月24日 山形市総合スポーツセンター)
 ミドル級決勝でお笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33=よしもとクリエイティブエージェンシー)が不戦勝で、ヘビー級時代を含め大会3連覇を達成した。試合開始時刻になっても相手が現れず、不完全燃焼の12年ラストマッチとなったが、来年4月に新設される女子の大会に出場することも決定。ボクサーとしての活動はまだまだ続く。

 キャンバスに上がった山崎が下ろされ、アナウンスが流れると、場内がざわついた。大会の最後を飾るミドル級決勝。「今、対戦相手の石井選手を捜しておりますので、10分ほどお待ちください」。しかし、石井智紋(ちあき、福山平成大コーチ)は現れず、再びキャンバスに上げられた山崎は、ゴングのあと1分待ち、正式に不戦勝を告げられた。前代未聞の結末に一番驚いたのは「ちょっとパニックになってしまった」という山崎本人だった。

 伏線はあった。今回から男子の全日本社会人選手権と同時開催。20日の大会初日から運営が長引いたため、開始時刻を早めた。最終日の計量は予定より1時間早い午前7時50分に変更されていたが、山崎サイドには伝わっておらず、計量前の点呼に遅刻。ただし、計量には間に合ったため、事情を考慮した大会側は失格処分にはしなかった。

 だが、石井サイドは山崎が失格したものと勘違い。関係者によると「試合が行われると聞いてショックを受けていた」。開始20分前に突然シューズを脱ぎバンデージを外し、泣きだしたという。その後、石井サイドは無断で会場を後にした。正式な抗議も受けないままの大会側は、山崎の勝利を決めるしかなかった。

 収まらないのは山崎も同じだ。7月30日には古傷の右膝半月板の手術を行い、この大会に向けて調整した。開催地の山形は、師事する梅津正彦トレーナーの故郷。皮膚がんと闘う師は、25日から入院する予定で「山形でお世話になっている人の前で戦って勝つ姿を見せたかったし、梅津さんに強くなったところも見せたかった」と困惑の表情を浮かべた。

 それでも、大会終了後には来年4月2日に後楽園ホールで女子の大会が新設されることが発表され、山崎の出場も決定。ミドル級では国内に対戦相手が少ないため、海外選手との対戦の可能性も高いことを聞かされると「ありがたい話。きょうは試合ができなくて残念でしたけど、次はそこに向けてトレーニングをやろうと思います」と気持ちを切り替えた。ロンドン挑戦で幕を開けたボクサーロード。不完全燃焼の12年が終わっても、まだその道は続く。

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