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家紋タトゥーの新王者佐藤 最多現役日本人王者9人目

[ 2012年3月28日 06:00 ]

3R、佐藤(右)は渾身のパンチをソールンビサイの顔面に炸裂させ2度目のダウンを奪う

WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦 佐藤洋太 判定 スリヤン・ソールンビサイ

(3月27日 後楽園ホール)
 世界初挑戦の佐藤洋太(27=協栄)が3―0の判定勝ちで、王者スリヤン・ソールンビサイ(23=タイ)を破り、新王者となった。3回に2度のダウンを奪い、中盤以降の体を密着させた激しい肉弾戦にもひるまず、果敢に打ち合って強打の王者を退けた。22歳で養子に入った佐藤は、世界ベルト奪取という最高の形で2組の両親への感謝の気持ちを表現した。協栄ジムからは12人目の世界王者。日本人男子の現役世界王者は史上最多を更新する9人となった。

 リング上で勝利のコールを告げられると、ガッツポーズをしながら号泣した。「実感が湧かない」という中で腰に巻かれた緑のベルト。「ここまで長かった。一番苦しかったし一番うれしかった」と喜びをかみしめた。

 デビューから8年でつかんだ世界戦のチャンスを一発で仕留めた。3回、2分すぎに右ストレートで王者に尻もちをつかせ、終了間際にも右でダウンを奪った。中盤の王者の反撃にもひるまず応戦。8回の公開採点で2―0とリードし「勝ったと思った」。終盤は軽快なステップでかわしながら、ジャブと左ボディーで王者の前進を阻んだ。

 旧姓・千葉洋太。生みの両親は共働きで、幼少期は盛岡の実家の近くに住む祖母の親友、佐藤弘さん(88)悦さん(86)夫妻にお世話になって育った。「小さいころはおとなしくてね」と悦さん。3人きょうだいの末っ子。佐藤夫妻には子供がいなかったため、いつしか本人も佐藤家へ養子に入ることを決めていた。

 滴る汗とともに、佐藤に宿る二つの魂が浮かび上がった。右足首には自分のえとの子(ね)に加え、生みの親とおいっ子のえとのタトゥーが刻まれている。左腕には佐藤家の家紋の八本骨源氏車のタトゥー。2組の家族への思いをいつまでも忘れないための決意だった。22歳の結婚を機に佐藤家の養子となったが、すでに19歳のプロデビューのときにタトゥーを入れていた。

 「これまでの感謝をベルトにして返す」。2組の両親への気持ちに加え、生まれ育った岩手県への思いも込めた。何度打たれても前に出る姿は、トランクスに刺しゅうされた「みちのく魂」の象徴。「東日本大震災から1年がたったけど(被災者に)力を与えたい」と気力を振り絞って攻め続け、ベルトを手に入れた。

 新王者は試合後、涙が消えると自信に満ちた表情に変わった。そして「1回でも多く防衛するのが恩返し」と長期防衛を宣言した。名門・協栄ジムの新たな歴史は佐藤が背負っていく。

 ◆佐藤 洋太(さとう・ようた)1984年(昭59)4月1日、岩手県生まれの27歳。盛岡南高でボクシングを始め、高3のインターハイでは1学年下の粟生隆寛に判定負けでベスト8。推薦で東北学院大に進学も半年で中退。04年プロデビュー。10年5月に日本スーパーフライ級暫定王座獲得。同9月に王座統一し、5度の防衛に成功。家族は妻・浩子さん(26)、長男・洋人くん(5)、次男・桜人くん(2)。1メートル71、右ボクサーファイター。

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