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輪島も長谷川も超えた!井岡“最速”98秒殺でV2達成

[ 2012年1月1日 06:00 ]

1R、TKO勝ちの井岡はガッツポーズ

WBC世界ミニマム級タイトルマッチ

(12月31日 大阪府立体育会館)
 大阪と横浜で世界戦3試合が行われ、WBC世界ミニマム級王者の井岡一翔(22=井岡)はヨードグン・トーチャルンチャイ(21=タイ)を1回1分38秒TKOで下し、同級元王者で叔父の弘樹会長(42)に並ぶ2度目の防衛に成功した。国内ジム出身者の世界王座防衛戦では最短KOとなった。WBA世界スーパーフェザー級王者の内山高志(32=ワタナベ)は暫定王者ホルヘ・ソリス(32=メキシコ)に11回TKO勝ちし、王座統一と4度目の防衛を果たした。王座奪取から5連続KO勝利は、自らの持つ日本人王者の最多記録を更新した。WBA世界フェザー級王座に挑戦した細野悟(28=大橋)は判定で敗れた。

 一撃でビビらせた。開始直後の左ジャブの相打ちは、井岡が「力が乗って効いた感覚があった」と振り返る一発。主導権を握ると勢いに乗って前に出た。左を脇腹に突き刺し、最後はやや下方から繰り出した左フックで仕留めた。悶絶(もんぜつ)する挑戦者に立ち上がる力は残っておらず、レフェリーはカウントをやめた。1回1分38秒でのV2達成。「こんなに早く終わるとは。もう少し見てもらいたい気持ちはあったけど、ジャブを起点にイメージ通りのコンビネーションを出せたんで」。速攻KOを満足顔で振り返った。

 「神経質なタイプ」と自らを評する。ボクシングへの取り組みも当然、ストイックで妥協を知らない。アマ時代はフライ級、プロ6戦はライトフライ級に在籍し、現階級での減量は厳しい。それだけに“おかわり”という言葉を忘れるほど徹底的に自己管理した。以前は56キロあった普段の体重を53キロ前後で維持。計画通りに減量が進んでも、試合3日前にはジムで約3時間は汗を流す。節制とハードトレーニングで過ごしたことで自然と結果はついてきた。昨年2月に40戦無敗のオーレドンから王座を奪い、8月にはランク1位の指名挑戦者エルナンデスを退けて初防衛に成功。そして大みそかのV2。この1年を「チャンピオンになれて防衛できて、生まれてきて一番いい年かも」と表現した。

 父の一法プロモーターは「あと1、2回ぐらい」とミニマム級にとどまる可能性を示唆しており、そうなればWBA世界ミニマム級王者・八重樫東(28=大橋)との統一戦プランが浮上してくる。だが、それぞれの団体が認可する保証はない。それだけに、井岡は今年の目標に叔父の弘樹会長に並ぶ2階級制覇を掲げた。「ベルトを手放したくない気持ちはあるけど、次のステップに進むことも大事ですから」。11年を派手に締めた若き王者は、12年もさらなる高みを目指していく。

 ≪王座奪取は平仲が最短≫井岡の1回1分38秒でのTKOは、72年輪島功一の1回1分49秒を抜き、国内ジム出身者の世界戦の防衛戦では史上最速のKO記録となった。3位は09年長谷川穂積の1回2分28秒。なお、王座奪取の世界戦を含めると、92年平仲明信の1回1分32秒が最速。

 ◆井岡 一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日、大阪府堺市生まれの22歳。大阪・興国高ボクシング部時代に高校6冠を達成。東農大に進んだが、中退してプロ入り。09年4月プロデビュー。10年10月に日本ライトフライ級王座を獲得。11年2月にWBC世界ミニマム級王座を獲得。7戦目での世界王座獲得は日本最短記録となった。8月には初防衛に成功。元WBC世界ミニマム級王者の井岡弘樹氏は叔父にあたる。1メートル64・2。右ボクサーファイター。

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