骨折しながら内山TKO防衛!さあ米国進出だ
WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 内山 高志(TKO8回終了)三浦 隆司
(1月31日 東京・有明コロシアム)
満身創いの王者が絶体絶命のピンチを乗り越えた。内山は2回に右フックを放った際に拳を骨折。3回にはバッティングで右まぶたをカットし、左ストレートを顎にもらってプロ入り後2度目のダウンも喫した。
「ダメージはなかったけど集中力を欠き、目をそらした。やっちゃった」。ハンデを背負いながらも、明暗を分けたのは序盤から繰り出した鋭い左ジャブ。三浦の右目がふさがり、棄権によるTKO勝ちに追い込んだ。
これで世界奪取から4連続KO。通算KO率(全試合でKOの占める割合)は82・4%で元WBA世界スーパーライト級王者・平仲明信(沖縄)の81・8%を抜き、日本ジム所属の歴代世界王者の単独トップに立った。「ブッ倒したわけではないのでKOだと思っていない。まだまだ」と満足していないが、難局を乗り越え3度目防衛に成功したことが収穫だった。
ケガの影響で次戦の時期は白紙となったが、V4戦は同級2位ジェイソン・リッツォー(米国)との指名試合が有力。マシンガンで勝利をつかんだKOダイナマイトは、精神的なタフさも身に付け、世界に打って出る。
◇内山 高志(うちやま・たかし)1979年(昭54)11月10日、埼玉県春日部市生まれの31歳。埼玉・花咲徳栄高でボクシングを始め、拓大4年から全日本選手権ライト級3連覇。社会人で国体を制しアマ4冠に輝く。日本代表として04年アテネ五輪アジア予選に出場も3回戦敗退。アマ通算戦績は113戦91勝(59KO・RSC)22敗。05年7月プロデビュー。07年9月に王座決定戦を制し東洋太平洋スーパーフェザー級王者に。昨年1月にはWBA世界同級王座を獲得。1メートル72・2の右ボクサーファイター。
≪見守る母「怖かった」≫内山の母・百代さん(59)はリングサイドで見守った。「目の上をカットしたり、ダウンしたり、びっくりしてドキドキでした。こんな怖い試合は初めて。本当に怖かった」と言いながらも内山の3度目の防衛にホッと胸をなで下ろした。「亡くなった主人が天国で見守ってくれて最後まであきらめなかったと思う。よく頑張ったと思う」と天国の亡き夫の行男さん(享年58)とともに愛息を称えていた。
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